October 20, 2022 Vol. 387 No. 16
白斑に対するルキソリチニブクリームの 2 件の第 3 相無作為化比較試験
Two Phase 3, Randomized, Controlled Trials of Ruxolitinib Cream for Vitiligo
D. Rosmarin and Others
白斑は,皮膚の色素脱失を引き起こす慢性自己免疫疾患である.成人の白斑患者を対象とした 1 件の第 2 相試験では,ルキソリチニブ(ヤヌスキナーゼ 1 および 2 の阻害薬)のクリーム製剤により色素再生がみられた.
北米と欧州で,12 歳以上の,色素脱失が総体表面積の 10%以下の非分節型白斑患者を対象として,2 件の第 3 相二重盲検基剤対照試験(TRuE-V1 および TRuE-V2)を実施した.患者を,顔面と全身のすべての白斑部位に 1.5%ルキソリチニブクリームを 1 日 2 回,24 週間塗布する群と,対照基剤を塗布する群に 2:1 の割合で無作為に割り付けた.25 週目以降は,全例が 1.5%ルキソリチニブクリームを 52 週目まで塗布することを可能とした.主要評価項目は,24 週の時点での,顔面の白斑面積スコア指標(F-VASI;0~3 で,数値が高いほど顔面の色素脱失面積が広いことを示す)のベースラインから 75%以上の減少(改善),すなわち「F-VASI75」とした.主な副次的評価項目は,白斑誘目性尺度(VNS)上の改善を含む,5 項目とした.
674 例が登録され,内訳は TRuE-V1 が 330 例,TRuE-V2 が 344 例であった.TRuE-V1 では,24 週目に F-VASI75 を達成していた患者の割合は,ルキソリチニブクリーム群で 29.8%,基剤群で 7.4%であった(相対リスク 4.0,95%信頼区間 [CI] 1.9~8.4,P<0.001).TRuE-V2 では,それぞれ 30.9%と 11.4%であった(相対リスク 2.7,95% CI 1.5~4.9,P<0.001).主な副次的評価項目の結果は,ルキソリチニブクリームのほうが対照基剤よりも優れていることを示していた.52 週間ルキソリチニブクリームを塗布した患者における有害事象の発現率は,TRuE-V1 で 54.8%,TRuE-V2 で 62.3%であり,とくに頻度の高かった有害事象は,塗布部位の痤瘡(それぞれ 6.3%と 6.6%),鼻咽頭炎(5.4%と 6.1%),塗布部位の瘙痒(5.4%と 5.3%)であった.
2 件の第 3 相試験で,ルキソリチニブクリームの塗布は,52 週,白斑病変の色素再生がみられる割合が対照基剤よりも大きかったが,塗布部位の痤瘡および瘙痒と関連した.白斑患者におけるルキソリチニブクリームの効果と安全性を明らかにするためには,より大規模かつ長期の試験が必要である.(インサイト社から研究助成を受けた.TRuE-V1 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04052425,TRuE-V2 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04057573)