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December 1, 2022 Vol. 387 No. 22

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保存期慢性腎臓病におけるレニン–アンジオテンシン系の阻害
Renin–Angiotensin System Inhibition in Advanced Chronic Kidney Disease

S. Bhandari and Others

背景

アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬とアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)を含むレニン–アンジオテンシン系(RAS)阻害薬は,軽度または中等度の慢性腎臓病の進行を遅らせる.しかし,保存期(ステージ 4 または 5)の慢性腎臓病患者では,RAS 阻害薬を中止した場合に,推算糸球体濾過量(eGFR)が増加する,または eGFR の低下が遅くなる可能性が一部の研究結果から示されている.

方 法

多施設共同非盲検試験で,進行性の保存期慢性腎臓病患者(eGFR 30 mL/分/1.73 m2 体表面積未満)を,RAS 阻害薬による治療を中止する群と継続する群に,無作為に割り付けた.主要転帰は 3 年の時点での eGFR とし,腎代替療法開始後の eGFR 値は除外した.副次的転帰は,末期腎不全(ESKD)の発生,eGFR の 50%を超える低下または腎代替療法開始(ESKD を含む)の複合,入院,血圧,運動耐容能,QOL などとした.年齢別,eGFR 別,糖尿病の病型別,平均動脈圧別,尿蛋白量別のサブグループを事前に規定した.

結 果

411 例が無作為化され,3 年の時点での eGFR の最小二乗平均値(±SE)は,中止群で 12.6±0.7 mL/分/1.73 m2,継続群で 13.3±0.6 mL/分/1.73 m2 であり(差 -0.7,95%信頼区間 [CI] -2.5~1.0,P=0.42),差は継続群のほうが転帰が良好であることを示す負の値であった.事前に規定したサブグループに,転帰の不均一性は認められなかった.ESKD または腎代替療法開始は,中止群の 128 例(62%)と継続群の 115 例(56%)に発生した(ハザード比 1.28,95% CI 0.99~1.65).有害事象の頻度は中止群と継続群とで同程度であり,心血管イベントはそれぞれ 108 件と 88 件,死亡は 20 例と 22 例であった.

結 論

進行性の保存期慢性腎臓病患者において,RAS 阻害薬を中止した場合,継続した場合と比較して,eGFR の長期低下率に有意差は認められなかった.(英国国立健康研究所,英国医学研究評議会から研究助成を受けた.STOP ACEi 試験:EudraCT 登録番号 2013-003798-82,ISRCTN 登録番号 62869767)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 387 : 2021 - 32. )