The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

December 1, 2022 Vol. 387 No. 22

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

妊娠中のオピオイド使用障害に対するブプレノルフィンとメサドンとの比較
Buprenorphine versus Methadone for Opioid Use Disorder in Pregnancy

E.A. Suarez and Others

背景

オピオイド使用障害を有する妊娠者には,オピオイド作動薬による治療が強く推奨される.ブプレノルフィンは,メサドンに比べて新生児および母体の良好な転帰と関連する可能性があるが,入手可能なデータは限られている.

方 法

2000~18 年に米国の公的保険プログラムに加入した妊娠者を対象としたコホート研究を行い,ブプレノルフィンの投与を受けた妊娠者の転帰を,メサドンの投与を受けた妊娠者の転帰と比較検討した.2 つの薬剤への曝露は,妊娠前期(妊娠 19 週まで),妊娠後期(妊娠 20 週~分娩前日),分娩前 30 日間に評価した.新生児および母体の転帰のリスク比は,傾向スコアの分布のオーバーラップ重み付け法を用いて,交絡因子で補正した.

結 果

本研究のデータソースには,生児出生に至った妊娠 2,548,372 件が含まれた.妊娠前期には妊娠者 10,704 例がブプレノルフィン,4,387 例がメサドンに曝露された.妊娠後期には 11,272 例がブプレノルフィン,5,056 例がメサドンに曝露された(分娩前 30 日間には,それぞれ 9,976 例,4,597 例).分娩前 30 日間にブプレノルフィンに曝露された児の 52.0%に新生児薬物離脱症候群が発生したのに対し,メサドンに曝露された児では 69.2%に発生した(補正後の相対リスク 0.73,95%信頼区間 [CI] 0.71~0.75).妊娠前期にブプレノルフィンに曝露された児の 14.4%と,メサドンに曝露された児の 24.9%で早産(補正後の相対リスク 0.58,95% CI 0.53~0.62),それぞれ 12.1%と 15.3%で在胎不当過小(SGA;補正後の相対リスク 0.72,95% CI 0.66~0.80),8.3%と 14.9%で低出生体重が発生した(補正後の相対リスク 0.56,95% CI 0.50~0.63).妊娠前期にブプレノルフィンに曝露された妊娠者の 33.6%と,メサドンに曝露された妊娠者の 33.1%で帝王切開が発生し(補正後の相対リスク 1.02,95% CI 0.97~1.08),それぞれ 3.3%と 3.5%に重度の母体合併症が発生した(補正後の相対リスク 0.91,95% CI 0.74~1.13).妊娠後期における曝露の結果は,妊娠前期における曝露の結果と一致していた.

結 論

妊娠中のブプレノルフィンの使用は,メサドンの使用と比較して,新生児の有害転帰のリスクが低いことと関連した.しかし,母体の有害転帰のリスクは,ブプレノルフィンの投与を受けた妊娠者とメサドンの投与を受けた妊娠者とで同程度であった.(米国国立薬物乱用研究所から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 387 : 2033 - 44. )