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December 8, 2022 Vol. 387 No. 23

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進行悪性黒色腫に対する腫瘍浸潤リンパ球療法とイピリムマブとの比較
Tumor-Infiltrating Lymphocyte Therapy or Ipilimumab in Advanced Melanoma

M.W. Rohaan and Others

背景

免疫チェックポイント阻害薬や標的療法により,進行悪性黒色腫患者の転帰は劇的に改善しているが,約半数の患者では利益が持続しないと考えられる.腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を用いた養子免疫細胞療法は,第 1~2 相試験では有望な反応が示されているが,進行悪性黒色腫の治療における TIL の役割を明らかにするための第 3 相試験のデータは不足している.

方 法

第 3 相多施設共同非盲検試験で,切除不能な IIIC 期または IV 期の悪性黒色腫患者を,TIL を投与する群と,抗細胞傷害性 T リンパ球抗原 4 療法(イピリムマブ 3 mg/kg 体重)を行う群に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.TIL 群では,先に骨髄非破壊的リンパ球除去化学療法(シクロホスファミド+フルダラビン)を行い,TIL を最小で 5×109 個輸注し,その後高用量インターロイキン-2 を投与した.主要エンドポイントは無増悪生存期間とした.

結 果

168 例(86%は抗プログラム細胞死 1 [PD-1] 療法抵抗性)を,TIL 群(84 例)とイピリムマブ群(84 例)に割り付けた.intention-to-treat 集団において,無増悪生存期間の中央値は,TIL 群で 7.2 ヵ月(95%信頼区間 [CI] 4.2~13.1),イピリムマブ群で 3.1 ヵ月(95% CI 3.0~4.3)であった(病勢進行または死亡のハザード比 0.50,95% CI 0.35~0.72,P<0.001).客観的奏効が得られた患者の割合は,それぞれ 49%(95% CI 38~60)と 21%(95% CI 13~32)であった.全生存期間の中央値は,TIL 群で 25.8 ヵ月(95% CI 18.2~未到達),イピリムマブ群で 18.9 ヵ月(95% CI 13.8~32.6)であった.グレード 3 以上の治療関連有害事象は,TIL の投与を受けた患者の全例と,イピリムマブの投与を受けた患者の 57%に発現し,TIL 群では主に化学療法関連骨髄抑制であった.

結 論

進行悪性黒色腫患者のうち,TIL 療法を受けた患者では,イピリムマブの投与を受けた患者と比較して,無増悪生存期間が有意に延長した.(オランダ対がん協会ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02278887)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 387 : 2113 - 25. )