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December 8, 2022 Vol. 387 No. 23

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前立腺特異抗原検査および MRI 後は標的生検のみを行う前立腺癌スクリーニング
Prostate Cancer Screening with PSA and MRI Followed by Targeted Biopsy Only

J. Hugosson and Others

背景

前立腺癌のスクリーニングには,過剰診断率が高いという難点がある.人口ベースのスクリーニングにもっとも適切なアルゴリズムは明らかにされていない.

方 法

50~60 歳の男性 37,887 例を,通常の前立腺特異抗原(PSA)スクリーニングに招待した.PSA 値が 3 ng/mL 以上の参加者には前立腺 MRI を行い,参加者の 1/3 を,MRI 上前立腺癌が疑われる病変の標的生検のほか,系統的生検を行う対照群に無作為に割り付けた.残りの 2/3 は実験群(2 群)に割り付け,MRI 標的生検のみを行った.主要転帰は臨床的に重要でない前立腺癌とし,グリーソンスコア 3+3 と定義した.副次的転帰は臨床的に重要な前立腺癌とし,グリーソンスコア 3+4 以上と定義した.安全性も評価した.

結 果

スクリーニングに招待された男性のうち,17,980 例(47%)が試験に参加した.臨床的に重要でない前立腺癌は,実験群の 11,986 例中 66 例(0.6%)で診断されたのに対し,対照群では 5,994 例中 72 例(1.2%)であり,差は -0.7 パーセントポイント(95%信頼区間 [CI] -1.0~-0.4)であった(相対リスク 0.46,95% CI 0.33~0.64,P<0.001).実験群の,対照群と比較した臨床的に重要な前立腺癌の相対リスクは 0.81(95% CI 0.60~1.1)であった.系統的生検のみによって発見された臨床的に重要な前立腺癌は,対照群の 10 例で診断されたが,全例が中リスクであり,大部分は低腫瘍量で,積極的監視により管理された.重篤な有害事象はいずれの群においてもまれ(0.1%未満)であった.

結 論

PSA 高値の男性の前立腺癌のスクリーニングと早期発見には,MRI を用いた標的生検を選択して系統的生検を回避することで,少数の患者で中リスク腫瘍の発見が遅れるという犠牲のもと,過剰診断のリスクが半減した.(カリン&クリステルヨハンソン財団ほかから研究助成を受けた.GÖTEBORG-2 試験:ISRCTN 登録番号 ISRCTN94604465)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 387 : 2126 - 37. )