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December 22, 2022 Vol. 387 No. 25

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包括的高度慢性下肢虚血に対する手術と血管内治療との比較
Surgery or Endovascular Therapy for Chronic Limb-Threatening Ischemia

A. Farber and Others

背景

包括的高度慢性下肢虚血(CLTI)患者には,下肢の血流を改善して切断のリスクを抑えるための血行再建が必要である.CLTI の初期戦略として,血管内治療と外科的血行再建術のどちらが下肢の転帰改善に優れているかは明らかにされていない.

方 法

国際共同無作為化試験で,CLTI と鼠径部以下の末梢動脈疾患を有する患者 1,830 例を組み入れ,2 件の並行コホート試験を行った.大伏在静脈に手術に使用可能な部位が 1 ヵ所ある患者をコホート 1 に,代用血管が必要な患者をコホート 2 に割り付けた.主要転帰は,主要有害下肢イベント(足関節より上での切断,または下肢への主要な再介入 [新規バイパス術,グラフト再置換,血栓除去術,血栓溶解療法] と定義)または全死因死亡の複合とした.

結 果

コホート 1 では,追跡期間中央値 2.7 年の時点で,主要転帰イベントは手術群の 709 例中 302 例(42.6%)と,血管内治療群の 711 例中 408 例(57.4%)に発生していた(ハザード比 0.68,95%信頼区間 [CI] 0.59~0.79,P<0.001).コホート 2 では,追跡期間中央値 1.6 年の時点で,主要転帰イベントは手術群の 194 例中 83 例(42.8%)と,血管内治療群の 199 例中 95 例(47.7%)に発生していた(ハザード比 0.79,95% CI 0.58~1.06,P=0.12).有害事象の発現率は,両コホートとも,2 群で同程度であった.

結 論

外科的血行再建術に適した大伏在静脈を有する CLTI 患者(コホート 1)では,主要有害下肢イベントまたは死亡の発生率は,手術群のほうが血管内治療群よりも有意に低かった.そのような大伏在静脈を有しない患者(コホート 2)では,2 群の転帰は同程度であった.(米国国立心臓・肺・血液研究所から研究助成を受けた.BEST-CLI 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02060630)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 387 : 2305 - 16. )