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August 11, 2022 Vol. 387 No. 6

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小さな無症状の腎結石の除去と再発率
Removal of Small, Asymptomatic Kidney Stones and Incidence of Relapse

M.D. Sorensen and Others

背景

小さな(6 mm 以下)無症状の腎結石を内視鏡で除去することの利益は明らかにされていない.現在のガイドラインでは,その判断は泌尿器科医と患者に委ねられている.古い非内視鏡手技を検討した 1 件の前向き研究と,数件の後ろ向き研究は,経過観察を支持している.しかし,発表されているデータは,より大きな結石の除去時にそのままにした小さな腎結石の約半数は,術後 5 年以内に,症状を伴うイベントを引き起こしたことを示している.

方 法

多施設共同無作為化比較試験において,小さな無症状の結石を,尿管または対側腎の結石の内視鏡的除去術中に 38 例では除去し(治療群),35 例では除去しなかった(対照群).主要転帰は再発とし,術後の救急受診,手術,副次結石の増大のいずれかで評価した.

結 果

平均追跡期間 4.2 年の時点で,再発までの期間は治療群のほうが対照群よりも長かった(log-rank 検定で P<0.001).再発までの期間の制限付き平均(±SE)は,治療群のほうが対照群よりも 75%長かった(1,631.6±72.8 日 対 934.2±121.8 日).再発リスクは,治療群のほうが対照群よりも 82%低く(ハザード比 0.18,95%信頼区間 [CI] 0.07~0.44),治療群では 16%が再発したのに対し,対照群では 63%で再発した.治療により,手術時間は中央値で 25.6 分(四分位範囲 18.5~35.2)延長した.術後 2 週間以内に,治療群の 5 例と対照群の 4 例が救急受診した.治療群の 8 例と対照群の 10 例が排石を報告した.

結 論

小さな無症状の腎結石を,尿管または対側腎の結石を除去するための手術中に除去した場合,除去しなかった場合よりも再発率は低く,手術に関連する救急受診数は同程度であった.(米国国立糖尿病・消化器病・腎臓病研究所,退役軍人省ピュージェット湾保健医療制度から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02210650)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 387 : 506 - 13. )