August 25, 2022 Vol. 387 No. 8
糖尿病黄斑浮腫に対するアフリベルセプト単独療法と最初にベバシズマブを投与する治療との比較
Aflibercept Monotherapy or Bevacizumab First for Diabetic Macular Edema
C.D. Jhaveri and Others
糖尿病黄斑浮腫の眼に対するアフリベルセプト単独療法の,最初にベバシズマブを投与し,状態の改善が不十分な場合にアフリベルセプトに切り替える治療(段階的治療)と比較した相対的有効性は明らかにされていない.
54 の臨床施設で,中心窩を含む糖尿病黄斑浮腫を有し,視力が,可読文字数で評価する ETDRS チャート(0~100 の尺度で,スコアが高いほど視力が良好であることを示す)で 24~69(スネレン視力 20/320~20/50 に相当)の成人患者の眼を,アフリベルセプト 2.0 mg を硝子体内投与する群と,ベバシズマブ 1.25 mg を硝子体内投与する群に無作為に割り付けた.無作為化時に投与を行い,その後は事前に規定した再治療プロトコールに従った.ベバシズマブ群では,プロトコールで規定した基準を満たした場合,12 週の時点からアフリベルセプト療法に切り替えた.主要転帰は,2 年の試験期間における視力変化の平均とした.2 年の時点での中心領域網膜厚と視力,および安全性も評価した.
312 眼(270 例)が無作為化され,158 眼がアフリベルセプト単独療法群,154 眼がベバシズマブ群に割り付けられた.2 年間で,ベバシズマブ群の眼の 70%がアフリベルセプト療法に切り替えられた.視力改善の平均は,アフリベルセプト単独療法群で 15.0 文字,ベバシズマブ群で 14.0 文字であった(補正後の差 0.8 文字,95%信頼区間 -0.9~2.5,P=0.37).2 年の時点で,視力と中心領域網膜厚の変化の平均は,2 群で同程度であった.アフリベルセプト単独療法群のほうが,重篤な有害事象の頻度が高く(アフリベルセプト単独療法群 52%,ベバシズマブ群 36%),有害事象による入院の頻度も高かった(それぞれ 48%,32%).
中心窩を含む糖尿病黄斑浮腫による中等度視力低下の治療に関する今回の試験では,アフリベルセプト単独療法と,最初にベバシズマブを投与し,効果が不十分な場合にアフリベルセプトに切り替える治療とのあいだで,2 年間の視力転帰に有意差は認められなかった.(米国国立衛生研究所から研究助成を受けた.Protocol AC 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03321513)