The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

August 25, 2022 Vol. 387 No. 8

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

再発性多発性硬化症に対するウブリツキシマブとテリフルノミドとの比較
Ublituximab versus Teriflunomide in Relapsing Multiple Sclerosis

L. Steinman and Others

背景

モノクローナル抗体ウブリツキシマブ(ublituximab)は,抗体依存性の細胞溶解を促進し,B 細胞を枯渇させる.ウブリツキシマブは,再発性多発性硬化症の治療薬として評価中である.

方 法

2 件の同一の第 3 相二重盲検ダブルダミー試験(ULTIMATE I,ULTIMATE II)で,再発性多発性硬化症の参加者を,ウブリツキシマブの静脈内投与(1 日目に 150 mg,その後は 15 日目,24 週目,48 週目,72 週目に 450 mg)とプラセボの経口投与を行う群と,テリフルノミド(teriflunomide)の経口投与(14 mg を 1 日 1 回)とプラセボの静脈内投与を行う群に,1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要エンドポイントは年間再発率とした.副次的エンドポイントは,96 週目までの MRI 上のガドリニウム増強病変数,障害の悪化などとした.

結 果

ULTIMATE I 試験に 549 例,ULTIMATE II 試験に 545 例が登録され,追跡期間中央値は 95 週であった.ULTIMATE I 試験では,年間再発率はウブリツキシマブ群で 0.08,テリフルノミド群で 0.19 であった(率比 0.41,95%信頼区間 [CI] 0.27~0.62,P<0.001).ULTIMATE II 試験では,年間再発率はそれぞれ 0.09,0.18 であった(率比 0.51,95% CI 0.33~0.78,P=0.002).ガドリニウム増強病変数の平均は,ULTIMATE I 試験ではウブリツキシマブ群で 0.02 個,テリフルノミド群で 0.49 個であり(率比 0.03,95% CI 0.02~0.06,P<0.001),ULTIMATE II 試験ではそれぞれ 0.01 個,0.25 個であった(率比 0.04,95% CI 0.02~0.06,P<0.001).2 試験の統合解析では,12 週の時点で障害の悪化が認められた参加者の割合は,ウブリツキシマブ群で 5.2%,テリフルノミド群で 5.9%であった(ハザード比 0.84,95% CI 0.50~1.41,P=0.51).注入に伴う反応(インフュージョンリアクション)は,ウブリツキシマブ群の 47.7%に発現した.重篤な感染症は,ウブリツキシマブ群の 5.0%とテリフルノミド群の 2.9%に発現した.

結 論

再発性多発性硬化症の参加者において,ウブリツキシマブは,テリフルノミドと比較して,96 週の期間における年間再発率を低下させ,MRI 上の脳病変を減少させたが,障害の悪化リスクを有意には低下させなかった.ウブリツキシマブはインフュージョンリアクションと関連した.(TG セラピューティクス社から研究助成を受けた.ULTIMATE I 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03277261,ULTIMATE II 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03277248)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 387 : 704 - 14. )