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September 1, 2022 Vol. 387 No. 9

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オミクロン株急増中のニルマトレルビルの使用と Covid-19 の重症化の転帰
Nirmatrelvir Use and Severe Covid-19 Outcomes during the Omicron Surge

R. Arbel and Others

背景

経口プロテアーゼ阻害薬であるニルマトレルビルは,無作為化対照試験において,重症急性呼吸器症候群コロナウイルス 2(SARS-CoV-2)の B.1.617.2 変異株(デルタ株)に感染した,高リスクのワクチン未接種者に高い有効性を示した.B.1.1.529 変異株(オミクロン株)による新型コロナウイルス感染症(Covid-19)の重症化の転帰の予防における,ニルマトレルビルの実社会での有効性に関するデータは限られている.

方 法

クラリットヘルスサービスの加入者で,オミクロン株急増中に行われた研究の開始時に 40 歳以上であり,SARS-CoV-2 感染が確認され,ニルマトレルビル療法に適格と評価された全員のデータを入手した.時間依存性共変量を含む Cox 比例ハザード回帰モデルを用いて,ニルマトレルビルの投与と,Covid-19 による入院および死亡との関連を推定した.社会人口統計学的要因,併存疾患,SARS-CoV-2 に対する免疫状態で補正した.

結 果

109,254 例が適格基準を満たし,うち 3,902 例(4%)が研究期間中にニルマトレルビルの投与を受けた.65 歳以上の患者については,Covid-19 による入院率は, 投与を受けた患者では 100,000 人日あたり 14.7 例であったのに対し,投与を受けなかった患者では 100,000 人日あたり 58.9 例であった(補正ハザード比 0.27,95%信頼区間 [CI] 0.15~0.49).Covid-19 による死亡の補正ハザード比は 0.21 であった(95% CI 0.05~0.82).40~64 歳の患者については,Covid-19 による入院率は,投与を受けた患者では 100,000 人日あたり 15.2 例であり,投与を受けなかった患者では 100,000 人日あたり 15.8 例であった(補正ハザード比 0.74,95% CI 0.35~1.58).Covid-19 による死亡の補正ハザード比は 1.32 であった(95% CI 0.16~10.75).

結 論

65 歳以上の患者では,Covid-19 による入院率と死亡率は,ニルマトレルビルの投与を受けた患者のほうが受けなかった患者よりも有意に低かった.65 歳未満の成人では,利益を示すエビデンスは認められなかった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 387 : 790 - 8. )