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September 8, 2022 Vol. 387 No. 10

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PCI 後の高リスク患者におけるルーチンの心機能検査と標準治療との比較
Routine Functional Testing or Standard Care in High-Risk Patients after PCI

D.-W. Park and Others

背景

心筋血行再建術後のサーベイランスにおける具体的な追跡方法について,指針となる無作為化試験のデータは限られている.ルーチンの心機能検査を含むフォローアップ戦略が,経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けた高リスク患者の臨床転帰を改善するかどうかは明らかにされていない.

方 法

PCI 後,高リスクの解剖学的特徴または臨床的特徴を有する 1,706 例を,PCI 後 1 年の時点でルーチンの心機能検査(核医学負荷検査,運動負荷心電図,負荷心エコー検査)を行うフォローアップ戦略群と,標準治療のみを行う群に無作為に割り付けた.主要転帰は,2 年の時点での全死因死亡,心筋梗塞,不安定狭心症による入院の複合とした.主な副次的転帰は,侵襲的冠動脈造影,再血行再建術などとした.

結 果

患者の平均年齢は 64.7 歳であり,21.0%が左主幹部病変,43.5%が分岐部病変,69.8%が多枝病変,70.1%がびまん性の長い病変,38.7%が糖尿病を有し,96.4%が薬剤溶出性ステントによる治療を受けていた.2 年の時点で,主要転帰のイベントは,心機能検査群の 849 例中 46 例(Kaplan–Meier 推定値 5.5%),標準治療群の 857 例中 51 例(Kaplan–Meier 推定値 6.0%)に発生した(ハザード比 0.90,95%信頼区間 [CI] 0.61~1.35,P=0.62).主要転帰の各項目に群間差はなかった.2 年の時点で,心機能検査群の 12.3%と標準治療群の 9.3%が侵襲的冠動脈造影を受け(差 2.99 パーセントポイント,95% CI -0.01~5.99),それぞれ 8.1%と 5.8%が再血行再建術を受けた(差 2.23 パーセントポイント,95% CI -0.22~4.68).

結 論

PCI を受けた高リスク患者において,ルーチンの心機能検査によるフォローアップ戦略は,標準治療のみを行った場合と比較して,2 年の時点での臨床転帰を改善しなかった.(心血管研究基金, 大熊製薬から研究助成を受けた.POST-PCI 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03217877)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 387 : 905 - 15. )