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September 8, 2022 Vol. 387 No. 10

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全身性エリテマトーデスに対する抗 BDCA2 抗体リティフィリマブの試験
Trial of Anti-BDCA2 Antibody Litifilimab for Systemic Lupus Erythematosus

R.A. Furie and Others

背景

形質細胞様樹状細胞にのみ発現する血液樹状細胞抗原 2(BDCA2)は,抗体と結合することで,全身性エリテマトーデス(SLE)の病因に関与する I 型インターフェロンの産生を抑制する.BDCA2 に結合するヒト化モノクローナル抗体であるリティフィリマブ(litifilimab)を,SLE 患者に皮下投与した場合の安全性と有効性は広く研究されていない.

方 法

SLE 患者を対象として,リティフィリマブの第 2 相試験を行った.最初の試験デザインでは,参加者を,リティフィリマブ(用量は 50 mg,150 mg,450 mg のいずれか)を 0,2,4,8,12,16,20 週目に皮下投与する群とプラセボを投与する群に無作為に割り付け,SLE の皮膚症状における疾患活動性を主要エンドポイントとして評価することとしていたが,活動性の皮膚病変に加えて,関節炎を有する成人 SLE 患者を,リティフィリマブ 450 mg を投与する群とプラセボを投与する群に無作為に割り付けるように変更した.変更後の主要エンドポイントは,24 週の時点で活動性であった関節の総数(腫脹関節数と圧痛関節数の合計と定義)のベースラインからの変化量とした.副次的エンドポイントは,皮膚症状における疾患活動性,および全般的な疾患活動性の変化とした.安全性も評価した.

結 果

334 例が適格性を評価され,132 例が無作為化された(64 例がリティフィリマブ 450 mg 群,6 例がリティフィリマブ 150 mg 群,6 例がリティフィリマブ 50 mg 群,56 例がプラセボ群に割り付けられた).主要解析は,リティフィリマブ 450 mg またはプラセボの投与を受けた,ベースライン時に圧痛関節数 4 以上,腫脹関節数 4 以上であった 102 例で行った.ベースライン時に活動性であった関節数の平均(±SD)は,リティフィリマブ群で 19.0±8.4,プラセボ群で 21.6±8.5 であった.そのベースラインから 24 週までの変化量の最小二乗平均値(±SE)は,リティフィリマブ群で -15.0±1.2,プラセボ群で -11.6±1.3 であった(最小二乗平均差 -3.4,95%信頼区間 -6.7~-0.2,P=0.04).副次的エンドポイントの大部分は,主要エンドポイントの解析結果を支持しなかった.リティフィリマブの投与は有害事象と関連し,帯状疱疹が 2 例,ヘルペス性角膜炎が 1 例に発現した.

結 論

SLE 患者を対象とした第 2 相試験で,リティフィリマブは,24 週間の期間での腫脹関節数と圧痛関節数のベースラインからの減少が,プラセボよりも大きいことと関連した.SLE 治療におけるリティフィリマブの安全性と有効性を明らかにするためには,より長期かつ大規模な試験が必要である.(バイオジェン社から研究助成を受けた.LILAC 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02847598)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 387 : 894 - 904. )