September 8, 2022 Vol. 387 No. 10
1 型糖尿病に対するクローズドループ療法と C-ペプチド分泌能の維持
Closed-Loop Therapy and Preservation of C-Peptide Secretion in Type 1 Diabetes
C.K. Boughton and Others
新規発症 1 型糖尿病患者では,ハイブリッドクローズドループ療法で血糖コントロールを良好に保つことにより,標準的なインスリン療法と比較して,C-ペプチド分泌能を維持できるかどうかは明らかにされていない.
多施設共同非盲検並行群間無作為化試験で,1 型糖尿病の診断後 21 日以内の 10.0~16.9 歳の若年者を,24 ヵ月間ハイブリッドクローズドループ療法を行う群と,標準的なインスリン療法を行う群(対照群)に割り付けた.主要エンドポイントは,診断後 12 ヵ月の時点での(混合食負荷試験後の)血漿中 C-ペプチド濃度の曲線下面積(AUC)とした.解析は intention-to-treat の原則に基づいて行った.
97 例(平均 [±SD] 年齢 12±2 歳)が無作為化され,51 例がクローズドループ群,46 例が対照群に割り付けられた.12 ヵ月の時点での C-ペプチド濃度の AUC(主要エンドポイント)に,群間で有意差は認められなかった(幾何平均は,クローズドループ療法 0.35 pmol/mL [四分位範囲 0.16~0.49],対照療法 0.46 pmol/mL [四分位範囲 0.22~0.69];補正後の差の平均 -0.06 pmol/mL [95%信頼区間 {CI} -0.14~0.03]).24 ヵ月の時点での C-ペプチド濃度の AUC に,群間で大きな差はなかった(幾何平均は,クローズドループ療法 0.18 pmol/mL [四分位範囲 0.06~0.22],対照療法 0.24 pmol/mL [四分位範囲 0.05~0.30];補正後の差の平均 -0.04 pmol/mL [95% CI -0.14~0.06]).糖化ヘモグロビン値の算術平均は,12 ヵ月の時点ではクローズドループ群のほうが対照群よりも 4 mmol/mol 低く(0.4 パーセントポイント,95% CI 0~8 mmol/mol [0.0~0.7 パーセントポイント]),24 ヵ月の時点では 11 mmol/mol 低かった(1.0 パーセントポイント,95% CI 7~15 mmol/mol [0.5~1.5 パーセントポイント]).重度の低血糖は,クローズドループ群で 5 件(3 例),対照群で 1 件発現し,糖尿病性ケトアシドーシスは,クローズドループ群で 1 件発現した.
新規発症 1 型糖尿病の若年者では,強化血糖コントロールを 24 ヵ月間行っても,残存 C-ペプチド分泌能の低下を防ぐことはできないと考えられた.(英国国立健康研究所ほかから研究助成を受けた.CLOuD 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02871089)