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January 11, 2024 Vol. 390 No. 2

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ROS1 融合遺伝子陽性非小細胞肺癌に対するレポトレクチニブ
Repotrectinib in ROS1 Fusion–Positive Non–Small-Cell Lung Cancer

A. Drilon and Others

背景

ROS1 融合遺伝子陽性非小細胞肺癌(NSCLC)の治療に承認されている初期世代 ROS1 チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)は抗腫瘍活性を有するが,耐性腫瘍が出現し,頭蓋内での活性は不十分である.レポトレクチニブ(repotrectinib)は,ROS1 G2032R などの耐性変異陽性癌を含む,ROS1 融合遺伝子陽性癌に対する活性が前臨床試験で示された,次世代 ROS1 TKI である.

方 法

承認申請のための第 1・2 相試験で,ROS1 融合遺伝子陽性 NSCLC を含む進行固形癌患者を対象として,レポトレクチニブの有効性と安全性を評価した.第 2 相試験の主要有効性エンドポイントは確定された客観的奏効とし,第 1 相と第 2 相の患者を有効性解析の対象とした.第 2 相の副次的エンドポイントは,奏効期間,無増悪生存,安全性とした.

結 果

第 1 相試験の結果に基づき,レポトレクチニブの第 2 相推奨用量は,160 mg 1 日 1 回,14 日間投与後,160 mg 1 日 2 回とした.ROS1 TKI 治療歴のない ROS1 融合遺伝子陽性 NSCLC 患者では,奏効は 71 例中 56 例(79%,95%信頼区間 [CI] 68~88)で得られ,奏効期間の中央値は 34.1 ヵ月(95% CI 25.6~推定不能),無増悪生存期間の中央値は 35.7 ヵ月(95% CI 27.4~推定不能)であった.1 種類の ROS1 TKI による治療歴があり,化学療法歴のない ROS1 融合遺伝子陽性 NSCLC 患者では,奏効は 56 例中 21 例(38%,95% CI 25~52)で得られ,奏効期間の中央値は 14.8 ヵ月(95% CI 7.6~推定不能),無増悪生存期間の中央値は 9.0 ヵ月(95% CI 6.8~19.6)であった.ROS1 G2032R 変異陽性の患者では,奏効は 17 例中 10 例(59%,95% CI 33~82)で得られた.第 2 相用量の投与を受けた 426 例において,とくに頻度の高かった治療関連有害事象は,浮動性めまい(患者の 58%),味覚異常(50%),感覚異常(30%)であり,3%が治療関連有害事象のためにレポトレクチニブを中止した.

結 論

ROS1 融合遺伝子陽性 NSCLC 患者において,レポトレクチニブは,ROS1 TKI 治療歴の有無にかかわらず,持続的な臨床活性を示した.有害事象は主に低グレードであり,管理しながらの長期投与は可能である.(ターニングポイント セラピューティクス社 [ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の完全子会社] から研究助成を受けた.TRIDENT-1 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03093116)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 390 : 118 - 31. )