January 11, 2024 Vol. 390 No. 2
トランスサイレチン型心アミロイドーシスに対するアコラミディスの有効性と安全性
Efficacy and Safety of Acoramidis in Transthyretin Amyloid Cardiomyopathy
J.D. Gillmore and Others
トランスサイレチン型心アミロイドーシスは,単量体がミスフォールドしたトランスサイレチン(TTR)が心臓に蓄積することを特徴とする.アコラミディス(acoramidis)は,4 量体 TTR の解離を阻害する作用をもつ,親和性の高い TTR 安定化薬であり,生体外での測定では,異なる投与間隔全体で 90%を超える安定化をもたらしている.
第 3 相二重盲検試験で,トランスサイレチン型心アミロイドーシス患者を,アコラミディス塩酸塩 800 mg を 1 日 2 回投与する群と,マッチさせたプラセボを投与する群に 2:1 の割合で無作為に割り付け,30 ヵ月間投与した.有効性は,推算糸球体濾過量 30 mL/分/1.73 m2 体表面積以上の患者を対象に評価した.4 段階の階層的主要解析で,全死因死亡,心血管関連入院,N 末端プロ B 型ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)値のベースラインからの変化量,6 分間歩行距離のベースラインからの変化量の順に解析した.フィンケルシュタイン–ショーンフェルド法を用いて,すべての可能な組合せの患者ペアを層内で比較し,P 値を算出した.重要な副次的転帰は,全死因死亡,6 分間歩行距離,カンザスシティ心筋症質問票の全体サマリー(KCCQ-OS)スコア,血清中 TTR 濃度とした.
632 例が無作為化された.主要解析では,アコラミディスのほうがプラセボよりも支持され(P<0.001),win 比は 1.8(95%信頼区間 [CI] 1.4~2.2)であり,ペアワイズ比較の 63.7%がアコラミディスを支持し,35.9%がプラセボを支持した.全死因死亡と心血管関連入院の win と loss を合わせると,win 比の半分以上(ペアワイズ比較の 58%)を占め,NT-proBNP 値のペアワイズ比較の win/loss 比がもっとも高くなった(23.3% 対 7.0%).有害事象の全発現率は,アコラミディス群とプラセボ群とで同程度であり(それぞれ 98.1%と 97.6%),重篤な有害事象はそれぞれ 54.6%,64.9%に発現した.
トランスサイレチン型心アミロイドーシス患者では,アコラミディス投与を受けた場合に,死亡,合併症,機能の 4 段階の階層的主要転帰が,プラセボ投与を受けた場合よりも有意に良好であった.有害事象は 2 群で同程度であった.(ブリッジバイオ ファーマ社から研究助成を受けた.ATTRibute-CM 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03860935)