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April 18, 2024 Vol. 390 No. 15

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心筋梗塞に伴う心原性ショックに対する小型軸流ポンプと標準治療との比較
Microaxial Flow Pump or Standard Care in Infarct-Related Cardiogenic Shock

J.E. Møller and Others

背景

心原性ショックを合併した ST 上昇型心筋梗塞(STEMI)患者の死亡率に,小型軸流ポンプを用いた一時的な機械的循環補助が及ぼす影響はまだ明らかにされていない.

方 法

国際共同多施設共同無作為化試験で,STEMI に心原性ショックを合併した患者を,小型軸流ポンプ(インペラ CP)と標準治療を併用する群と,標準治療のみを行う群に割り付けた.主要エンドポイントは,180 日の時点での全死因死亡とした.複合安全性エンドポイントは,重度の出血,下肢虚血,溶血,デバイスの故障,大動脈弁逆流の増悪とした.

結 果

360 例が無作為化され,355 例(小型軸流ポンプ群 179 例,標準治療群 176 例)が最終解析の対象となった.患者の年齢の中央値は 67 歳であり,79.2%が男性であった.全死因死亡は,小型軸流ポンプ群の 179 例中 82 例(45.8%)と,標準治療群の 176 例中 103 例(58.5%)に発生した(ハザード比 0.74,95%信頼区間 [CI] 0.55~0.99,P=0.04).複合安全性エンドポイントのイベントは,小型軸流ポンプ群の 43 例(24.0%)と,標準治療群の 11 例(6.2%)に発生した(相対リスク 4.74,95% CI 2.36~9.55).腎代替療法は,小型軸流ポンプ群の 75 例(41.9%)と,標準治療群の 47 例(26.7%)に行われた(相対リスク 1.98,95% CI 1.27~3.09).

結 論

STEMI に伴う心原性ショック患者の治療において,標準治療に加えて小型軸流ポンプをルーチンに使用することにより,標準治療単独と比較して,180 日の時点での全死因死亡のリスクが低くなった.有害事象の複合の発現率は,小型軸流ポンプを使用した場合のほうが高かった.(デンマーク心臓財団,アビオメッド社から研究助成を受けた.DanGer Shock 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01633502)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 390 : 1382 - 93. )