The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

April 18, 2024 Vol. 390 No. 15

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

肥満に関連した心不全と 2 型糖尿病を有する患者に対するセマグルチド
Semaglutide in Patients with Obesity-Related Heart Failure and Type 2 Diabetes

M.N. Kosiborod and Others

背景

肥満と 2 型糖尿病は,左室駆出率の保たれた心不全患者で頻度が高く,症状の負荷が大きいのが特徴である.2 型糖尿病患者の,肥満に関連した左室駆出率の保たれた心不全を特異的に標的とする治療として,承認されたものはない.

方 法

左室駆出率の保たれた心不全,体格指数(BMI;体重 [kg]/身長 [m]2)30 以上,2 型糖尿病の患者を,セマグルチド(2.4 mg)を週 1 回,52 週間投与する群と,プラセボを投与する群に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,カンザスシティ心筋症質問票・臨床サマリースコア(KCCQ-CSS;スコア範囲は 0~100 で,数値が高いほど症状と身体的制限が少ないことを示す)のベースラインからの変化量と,体重の変化とした.確認的副次的エンドポイントは,6 分間歩行距離の変化量のほか,死亡・心不全イベント・KCCQ-CSS の変化量の差・6 分間歩行距離の変化量の差などが含まれる階層的複合エンドポイント,C 反応性蛋白(CRP)値の変化とした.

結 果

616 例が無作為化された.KCCQ-CSS の変化量の平均値は,セマグルチド群 13.7 点,プラセボ群 6.4 点であり(推定差 7.3 点,95%信頼区間 [CI] 4.1~10.4,P<0.001),体重の変化(%)の平均値はそれぞれ -9.8%,-3.4%であった(推定差 -6.4 パーセントポイント,95% CI -7.6~-5.2,P<0.001).確認的副次的エンドポイントの結果は,セマグルチド群のほうがプラセボ群よりも良好であった(6 分間歩行距離の変化量の群間差の推定値 14.3 m [95% CI 3.7~24.9,P=0.008],階層的複合エンドポイントの win 比 1.58 [95% CI 1.29~1.94,P<0.001],CRP 値の変化に対する推定治療比 0.67 [95% CI 0.55~0.80,P<0.001]).重篤な有害事象はセマグルチド群の 55 例(17.7%)と,プラセボ群の 88 例(28.8%)で報告された.

結 論

肥満に関連した左室駆出率の保たれた心不全と,2 型糖尿病を有する患者にセマグルチドを投与した場合,プラセボと比較して,1 年の時点での心不全に関連する症状と身体的制限,および体重の減少が大きかった.(ノボ ノルディスク社から研究助成を受けた.STEP-HFpEF DM 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04916470)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 390 : 1394 - 407. )