症候性閉塞性肥大型心筋症に対するアフィカムテン
Aficamten for Symptomatic Obstructive Hypertrophic Cardiomyopathy
M.S. Maron and Others
閉塞性肥大型心筋症(HCM)患者の運動耐容能低下および運動を制限する症状の主要な決定因子の一つは,左室流出路狭窄に起因する心内圧上昇である.アフィカムテン(aficamten)は,経口選択的心筋ミオシン阻害薬であり,心筋の過収縮を抑制することで左室流出路圧較差を減少させる.
第 3 相二重盲検試験で,症候性閉塞性 HCM を有する成人を,アフィカムテン(開始用量 5 mg,最大用量 20 mg)を 24 週間投与する群と,プラセボを投与する群に無作為に割り付けた.用量は心エコーの結果に基づき調節した.主要エンドポイントは最高酸素摂取量のベースラインから 24 週までの変化量とし,心肺運動負荷試験で評価した.事前に規定した副次的エンドポイント(階層的に検定)は,カンザスシティ心筋症質問票・臨床サマリースコア(KCCQ-CSS)の変化量,ニューヨーク心臓協会(NYHA)機能分類の改善,バルサルバ手技後の圧較差の変化量,バルサルバ手技後の圧較差 30 mmHg 未満,中隔縮小治療の適応期間(いずれも 24 週で評価),KCCQ-CSS の変化量,NYHA 機能分類の改善,バルサルバ手技後の圧較差の変化量,バルサルバ手技後の圧較差 30 mmHg 未満(いずれも 12 週で評価),心肺運動負荷時の総仕事量の 24 週の時点での変化量の 10 項目とした.
282 例が無作為化され,142 例がアフィカムテン群,140 例がプラセボ群に割り付けられた.平均年齢は 59.1 歳であり,59.2%が男性で,ベースライン時の安静時左室流出路圧較差の平均値は 55.1 mmHg,左室駆出率の平均値は 74.8%であった.24 週の時点で,最高酸素摂取量の変化量の平均値は,アフィカムテン群 1.8 mL/kg/分(95%信頼区間 [CI] 1.2~2.3),プラセボ群 0.0 mL/kg/分(95% CI -0.5~0.5)であった(最小二乗平均の群間差 1.7 mL/kg/分,95% CI 1.0~2.4,P<0.001).10 項目の副次的エンドポイントはすべて,アフィカムテン群でプラセボ群よりも有意に改善した.有害事象の発現率は,2 群で同程度であると考えられた.
症候性閉塞性 HCM 患者において,アフィカムテン投与により,プラセボと比較して最高酸素摂取量が有意に大きく改善した.(サイトキネティクス社から研究助成を受けた.SEQUOIAHCM 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT05186818)