新生児の緊急挿管におけるビデオ喉頭鏡と直接喉頭鏡との比較
Video versus Direct Laryngoscopy for Urgent Intubation of Newborn Infants
L.E. Geraghty and Others
新生児において,気管挿管の試行を繰り返すことは,有害事象の増加と関連する.臨床医が喉頭鏡で直接気道を見て挿管する場合,初回で成功するのは半数未満である.成人と小児では,ブレードの先端にカメラが搭載され,モニター画面に気道の映像が映し出されるビデオ喉頭鏡を使用した場合,直接喉頭鏡を使用した場合よりも初回挿管成功率が高いことが示されている.新生児におけるビデオ喉頭鏡の効果は明らかにされていない.
単一施設試験で,分娩室または新生児集中治療室(NICU)で挿管を受ける新生児を,在胎期間にかかわらず,ビデオ喉頭鏡群と直接喉頭鏡群に無作為に割り付けた.無作為化は在胎期間(32 週未満と 32 週以上)で層別化して行った.主要転帰は初回挿管成功とし,呼気中の二酸化炭素の検出により判定した.
試験に組み入れられた新生児 226 例中 214 例のデータを解析した.63 例(29%)が分娩室で挿管され,151 例(71%)が NICU で挿管された.初回挿管成功は,ビデオ喉頭鏡群の 107 例中 79 例(74%,95%信頼区間 [CI] 66~82)と,直接喉頭鏡群の 107 例中 48 例(45%,95% CI 35~54)で得られた(P<0.001).挿管成功までの試行回数の中央値は,ビデオ喉頭鏡群 1 回(95% CI 1~1),直接喉頭鏡群 2 回(95% CI 1~2)であった.挿管中の最低酸素飽和度の中央値は,ビデオ喉頭鏡群 74%(95% CI 65~78),直接喉頭鏡群 68%(95% CI 62~74)であり,最低心拍数はそれぞれ 153 回/分(95% CI 148~158)と 148 回/分(95% CI 140~156)であった.
緊急気管挿管を受ける新生児において,ビデオ喉頭鏡は,直接喉頭鏡よりも初回挿管成功数が多かった.(アイルランド国立産科病院財団から研究助成を受けた.VODE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04994652)