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June 20, 2024 Vol. 390 No. 23

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緊急挿管中の前酸素化に用いる非侵襲的換気
Noninvasive Ventilation for Preoxygenation during Emergency Intubation

K.W. Gibbs and Others

背景

気管挿管を受ける重症成人は,低酸素血症を発症した場合,心停止と死亡のリスクが上昇する.前酸素化に非侵襲的換気を用いた場合の,酸素マスクを用いた場合と比較した,気管挿管中の低酸素血症の発生率に対する効果は明らかでない.

方 法

米国の 24 ヵ所の救急部と集中治療室で多施設共同無作為化試験を行い,気管挿管を受ける重症成人(18 歳以上)を,前酸素化に非侵襲的換気を用いる群と酸素マスクを用いる群に無作為に割り付けた.主要転帰は挿管中の低酸素血症とし,麻酔導入から気管挿管 2 分後までの酸素飽和度が 85%未満と定義した.

結 果

1,301 例が組み入れられた(非侵襲的換気群 645 例,酸素マスク群 656 例).低酸素血症は,酸素飽和度のデータが得られた非侵襲的換気群の 624 例中 57 例(9.1%)と,酸素マスク群の 637 例中 118 例(18.5%)に発生した(差 -9.4 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] -13.2~-5.6,P<0.001).心停止は,非侵襲的換気群の 1 例(0.2%)と酸素マスク群の 7 例(1.1%)に発生した(差 -0.9 パーセントポイント,95% CI -1.8~-0.1).吸引は,非侵襲的換気群の 6 例(0.9%)と酸素マスク群の 9 例(1.4%)に発現した(差 -0.4 パーセントポイント,95% CI -1.6~0.7).

結 論

気管挿管を受ける重症成人において,前酸素化に非侵襲的換気を用いた場合,酸素マスクを用いた場合と比較して,挿管中の低酸素血症の発生率を低下させた.(米国国防総省から研究助成を受けた.PREOXI 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT05267652)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 390 : 2165 - 77. )