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January 25, 2024 Vol. 390 No. 4

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測定可能残存病変に基づく慢性リンパ性白血病治療
Chronic Lymphocytic Leukemia Therapy Guided by Measurable Residual Disease

T. Munir and Others

背景

慢性リンパ性白血病(CLL)患者では,イブルチニブとベネトクラクスの併用により,化学免疫療法よりも転帰が改善することが示されている.イブルチニブ–ベネトクラクスを用い,さらに測定可能残存病変(MRD)に基づき投与期間を個別化することが,フルダラビン,シクロホスファミド,リツキシマブの併用(FCR)よりも有効であるかどうかは明らかでない.

方 法

未治療の CLL 患者を対象とした第 3 相多施設共同無作為化比較非盲検プラットフォーム試験で,イブルチニブ–ベネトクラクス,イブルチニブ単剤を,FCR と比較した.イブルチニブ–ベネトクラクス群では,2 ヵ月間イブルチニブを投与したあと,ベネトクラクスを追加し,最長 6 年間投与を行った.イブルチニブ–ベネトクラクスの投与期間は,末梢血中および骨髄中の MRD で決定し,MRD が陰性になるまでに要した時間の 2 倍とした.主要エンドポイントは,イブルチニブ–ベネトクラクス群の FCR 群と比較した無増悪生存とし,今回その結果を報告する.重要な副次的エンドポイントは,全生存,奏効,MRD,安全性とした.

結 果

523 例を,イブルチニブ–ベネトクラクス群と FCR 群に無作為に割り付けた.中央値 43.7 ヵ月の時点で,病勢進行または死亡は,イブルチニブ–ベネトクラクス群の 12 例と FCR 群の 75 例に発生していた(ハザード比 0.13,95%信頼区間 [CI] 0.07~0.24,P<0.001).死亡は,イブルチニブ–ベネトクラクス群の 9 例と FCR 群の 25 例に発生した(ハザード比 0.31,95% CI 0.15~0.67).3 年の時点で,イブルチニブ–ベネトクラクス群の患者の 58.0%は,MRD 陰性によりイブルチニブ–ベネトクラクスを中止していた.5 年の 時点で,イブルチニブ–ベネトクラクス群の患者の 65.9%が骨髄中 MRD 陰性,92.7%が末梢血中 MRD 陰性であった.感染のリスクは,イブルチニブ–ベネトクラクス群と FCR 群で同程度であった.心臓の重篤な有害事象を発現した患者の割合は,イブルチニブ–ベネトクラクス群のほうが FCR 群よりも高かった(10.7% 対 0.4%).

結 論

CLL に対する MRD に基づくイブルチニブ–ベネトクラクスは,FCR と比較して,無増悪生存を改善した.全生存の結果も,イブルチニブ–ベネトクラクスのほうが優れていた.(キャンサーリサーチ UK ほかから研究助成を受けた.FLAIR 試験:ISRCTN 登録番号 ISRCTN01844152,EudraCT 登録番号 2013-001944-76)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 390 : 326 - 37. )