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January 25, 2024 Vol. 390 No. 4

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民間保険加入患者に医師が投与する薬剤の病院価格
Hospital Prices for Physician-Administered Drugs for Patients with Private Insurance

J.C. Robinson, C. Whaley, and S.S. Dhruva

背景

薬剤の最終的な買い手と売り手とのあいだに存在する病院は,その立場を利用して,保険会社の薬剤支出のかなりの割合を確保することができる.

方 法

腫瘍性疾患,炎症性疾患,血液細胞欠乏性障害に対する薬剤の注入のために受診した米国の患者に関する,2020~21 年の全米のブルークロス・ブルーシールドの請求データを使用した.償還価格の差益を,ブルークロス・ブルーシールドプランから病院・診療所に支払われた金額と,これらの医療提供者から医薬品製造業者に支払われた金額との比較で測定した.病院から医薬品製造業者への支払いにおける調達価格の減少を,連邦政府の 340B 薬価設定プログラムの割引をもとに測定した.ブルークロス・ブルーシールドの薬剤支出のうち,医薬品製造業者が受け取った割合と,医療提供者組織が確保した割合を推定した.

結 果

対象は米国の患者 404,443 例で,薬剤の注入のための受診回数は 4,727,189 回であった.340B の割引の対象病院の価格差益(調達価格に対する償還価格の比と定義)の中央値は 3.08(四分位範囲 1.87~6.38)であった.薬剤,患者,地理的要因で補正後,340B の割引の対象病院における価格差益は,個人診療所の 6.59 倍(95%信頼区間 [CI] 6.02~7.16)であり,割引の非対象病院における価格差益は,個人診療所の 4.34 倍(95% CI 3.77~4.90)であった.340B の割引の対象病院が保険者の薬剤支出の 64.3%を確保していたのに対し,340B の割引の非対象病院は 44.8%を確保し,個人診療所は 19.1%を確保していた.

結 論

今回の研究は,民間保険加入患者に医師が投与する薬剤に対して,病院は大きな価格差益を設定し,保険会社の総支出のかなりの割合を確保していることを示した.この影響は,連邦政府の 340B 薬価設定プログラムで,製造業者に支払う調達費の割引の対象となっている病院においてとくに大きかった.(アーノルドベンチャーズ,米国国立医療管理研究所から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 390 : 338 - 45. )