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February 22, 2024 Vol. 390 No. 8

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真性多血症における赤血球増加の抑制に用いるヘプシジン模倣薬ルスフェルチド
Rusfertide, a Hepcidin Mimetic, for Control of Erythrocytosis in Polycythemia Vera

M. Kremyanskaya and Others

背景

真性多血症は,赤血球増加を特徴とする慢性骨髄増殖性腫瘍である.ルスフェルチド(rusfertide)は,主要な鉄制御ホルモンであるヘプシジンのペプチド模倣薬の注射製剤であり,赤血球生成における鉄利用を抑制する.瀉血を必要とする真性多血症患者におけるルスフェルチドの安全性と有効性は不明である.

方 法

国際共同第 2 相 REVIVE 試験のパート 1 で,患者を,ルスフェルチドの 28 週間用量設定評価に登録した.パート 2 は二重盲検で休薬に無作為に割り付ける期間とし,患者を,ルスフェルチドを 12 週間投与する群とプラセボを投与する群に 1:1 の割合で割り付けた.主要有効性エンドポイントは奏効とし,ヘマトクリット値のコントロール,瀉血の施行なし,パート 2 における試験レジメンの完了と定義した.患者報告アウトカムは,修正骨髄増殖性腫瘍症状評価フォーム(MPN-SAF:10 の症状についての評価.各症状のスコア範囲は 0~10 で,数値が高いほど重度であることを示す)により評価した.

結 果

70 例が試験のパート 1 に登録され,59 例がパート 2 でルスフェルチド群(30 例)とプラセボ群(29 例)に割り付けられた.瀉血の年間平均(±SD)回数は,ルスフェルチドの初回投与前の 28 週間では 8.7±2.9 回,パート 1 では 0.6±1.0 回と推定された(推定差 8.1 回/年).ヘマトクリット値の最大値の平均は,ルスフェルチドの初回投与前 28 週間では 50.0±5.8%であったのに対し,パート 1 では 44.5±2.2%であった.パート 2 では,奏効はルスフェルチド群の 60%で得られたのに対し,プラセボ群では 17%であった(P=0.002).ベースラインからパート 1 終了までに,ベースライン時に中等度または重度の症状があった患者において,ルスフェルチド投与は,MPN-SAF の個々の症状スコアの減少と関連していた.パート 1 と 2 で,グレード 3 の有害事象が患者の 13%に発現し,グレード 4 または 5 の事象は発現しなかった.グレード 1 または 2 の注射部位反応の頻度が高かった.

結 論

真性多血症患者のうち,ルスフェルチドの投与を受けた患者では,28 週間の用量設定期間中のヘマトクリットの平均値が 45%未満であった.また,12 週間の休薬への無作為割付期間中に奏効が認められた患者の割合は,ルスフェルチド群のほうがプラセボ群よりも高かった.(プロタゴニスト セラピューティクス社から研究助成を受けた.REVIVE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04057040)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 390 : 723 - 35. )