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September 19, 2024 Vol. 391 No. 11

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遺伝性出血性末梢血管拡張症の鼻出血に対するポマリドミド
Pomalidomide for Epistaxis in Hereditary Hemorrhagic Telangiectasia

H. Al-Samkari and Others

背景

遺伝性出血性末梢血管拡張症(HHT)は,広範な末梢血管拡張と動静脈奇形を特徴とする.主な臨床症状は鼻出血であり,鉄欠乏性貧血や健康関連 QOL の低下をもたらす.

方 法

無作為化プラセボ対照試験を行い,HHT 治療におけるポマリドミドの安全性と有効性を評価した.患者を,ポマリドミド4 mg/日を投与する群と,マッチさせたプラセボを投与する群に 2:1 の割合で無作為に割り付け,24 週間投与した.主要転帰は,鼻出血重症度スコア(妥当性の確認されている HHT 出血スコア:0~10 で,数値が高いほど出血が重症であることを示す)のベースラインから 24 週までの変化量とした.このスコアは 0.71 以上の低下が臨床的に重要とみなされている.HHT 特異的 QOL スコア(0~16 で,数値が高いほど制限が多いことを示す)を重要な副次的転帰とした.

結 果

予定されていた中間解析で,事前に規定した有効性の閾値に達したため,組入れは 2023 年 6 月に中止した.144 例が無作為化され,95 例がポマリドミド群,49 例がプラセボ群に割り付けられた.ベースライン時の鼻出血重症度スコアの平均(±SD)は 5.0±1.5 であり,これは中等症~重症の鼻出血に相当する.24 週の時点で,鼻出血重症度スコアのベースラインからの変化量について,ポマリドミド群とプラセボ群との差の平均は -0.94(95%信頼区間 [CI] -1.57~-0.31,P=0.004)であった.HHT 特異的 QOL スコアの変化量については,群間差の平均は -1.4(95% CI -2.6~-0.3)であった.ポマリドミド群でプラセボ群よりも頻度の高かった有害事象は,好中球減少,便秘,皮疹などであった.

結 論

HHT 患者に対するポマリドミド投与は,鼻出血の重症度に有意かつ臨床的に重要な低下をもたらした.予期しない安全性シグナルは確認されなかった.(米国国立心臓・肺・血液研究所から研究助成を受けた.PATH-HHT 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03910244)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 391 : 1015 - 27. )