September 19, 2024 Vol. 391 No. 11
再発または難治性の慢性移植片対宿主病に対するアキサチリマブ
Axatilimab in Recurrent or Refractory Chronic Graft-versus-Host Disease
D. Wolff and Others
慢性移植片対宿主病(GVHD)は,同種造血幹細胞移植の主要な長期合併症であり,コロニー刺激因子 1 受容体(CSF1R)依存性の単球とマクロファージは,その重要なメディエータである.CSF1R 阻害抗体アキサチリマブ(axatilimab)は,慢性 GVHD において有望な臨床活性を示している.
第 2 相国際共同ピボタル無作為化試験で,再発または難治性の慢性 GVHD 患者を対象に,アキサチリマブの異なる 3 用量を評価した.患者を,アキサチリマブ 0.3 mg/kg 体重を 2 週ごとに静脈内投与する群(0.3 mg 群),1 mg/kg を 2 週ごとに静脈内投与する群(1 mg 群),3 mg/kg を 4 週ごとに静脈内投与する群(3 mg 群)に無作為に割り付けた.主要評価項目は,最初の 6 サイクルにおける全奏効(完全奏効または部分奏効)とした.重要な副次的評価項目は,患者報告による慢性 GVHD の症状負担の減少とし,修正リー症状評価尺度(スコアは 0~100 で,数値が高いほど症状が重いことを示す)の 5 点を超える低下と定義した.主要評価項目は,95%信頼区間の下限が 30%を超える場合に達成されることとした.
241 例が登録された(0.3 mg 群 80 例,1 mg 群 81 例,3 mg 群 80 例).主要評価項目はすべての群で達成され,全奏効割合は 0.3 mg 群 74%(95%信頼区間 [CI] 63~83),1 mg 群 67%(95% CI 55~77),3 mg 群 50%(95% CI 39~61)であった.修正リー症状評価尺度で 5 点を超える低下が報告された患者の割合は,0.3 mg 群 60%,1 mg 群 69%,3 mg 群 41%であった.もっとも頻度の高かった有害事象は,CSF1R 阻害に関連する用量依存性,一過性の臨床検査値異常であった.アキサチリマブの中止にいたった有害事象の発現率は,0.3 mg 群 6%,1 mg 群 22%,3 mg 群 18%であった.
再発または難治性の慢性 GVHD 患者において,アキサチリマブを用いた CSF1R 依存性の単球とマクロファージの標的化により,高い奏効割合が得られた.(シンダックス ファーマシューティカルズ社,インサイト社から研究助成を受けた.AGAVE-201 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04710576)