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September 26, 2024 Vol. 391 No. 12

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前立腺特異抗原検査と MRI による前立腺癌スクリーニングの 4 年後の結果
Results after Four Years of Screening for Prostate Cancer with PSA and MRI

J. Hugosson and Others

背景

MRI による前立腺癌スクリーニングについては,有効性・安全性データをスクリーニング試験の追跡調査で得る必要がある.

方 法

2015 年に開始した人口ベースの試験で,50~60 歳の男性を前立腺特異抗原(PSA)スクリーニングに招待した.男性を,系統的生検群と MRI 標的生検群に無作為に割り付けた.PSA 値が 3 ng/mL 以上の男性には前立腺 MRI を行い,系統的生検群では MRI の結果にかかわらず系統的生検を行い,MRI で前立腺癌が疑われる病変を認めた場合は標的生検を行った.MRI 標的生検群では MRI 標的生検のみを行った.PSA 検査では,PSA 値に応じて 2,4,8 年後の再スクリーニングに招待した.主要転帰は臨床的に重要でない前立腺癌(国際泌尿器病理学会 [ISUP] グレード 1)の発見とした.副次的転帰は臨床的に重要な癌(ISUP グレード 2 以上)の発見とし,臨床的進行癌または高リスク癌(転移性または ISUP グレード 4 もしくは 5)の発見も評価した.

結 果

追跡期間中央値 3.9 年(各群約 26,000 人年)の時点で,MRI 標的生検群の 6,575 例中 185 例(2.8%)と,系統的生検群の 6,578 例中 298 例(4.5%)で前立腺癌が発見された.MRI 標的生検群の,系統的生検群と比較した臨床的に重要でない癌発見の相対リスクは 0.43(95%信頼区間 [CI] 0.32~0.57,P<0.001)であり,再スクリーニング時のほうが初回スクリーニング時よりも低かった(相対リスク 0.25 対 0.49).臨床的に重要な前立腺癌診断の相対リスクは 0.84(95% CI 0.66~1.07)であった.進行癌または高リスク癌は,MRI 標的生検群で 15 件,系統的生検群で 23 件,スクリーニングで発見,あるいは中間期癌として発見された(相対リスク 0.65,95% CI 0.34~1.24).重度の有害事象は 5 件発現した(系統的生検群 3 件,MRI 標的生検群 2 件).

結 論

この試験で,MRI 陰性の患者に対する生検を省略することにより,臨床的に重要でない前立腺癌の診断の半数以上が排除され,これに伴う,治癒困難な癌がスクリーニング時に診断,あるいは中間期癌として診断されるリスクはきわめて低かった.(カリン&クリステル・ヨハンソン財団ほかから研究助成を受けた.GÖTEBORG-2 試験:ISRCTN 登録番号 ISRCTN94604465)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 391 : 1083 - 95. )