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September 26, 2024 Vol. 391 No. 12

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RS ウイルス感染で入院した乳幼児に対するジレソビル
Ziresovir in Hospitalized Infants with Respiratory Syncytial Virus Infection

S. Zhao and Others

背景

RS ウイルス(respiratory syncytial virus:RSV)は,乳幼児における重症疾患の主な原因であり,有効な治療法がない.第 2 相試験の結果から,RSV 感染で入院した乳幼児の治療にジレソビル(ziresovir)が有効である可能性が示唆されている.

方 法

中国で行われた第 3 相多施設共同二重盲検無作為化プラセボ対照試験で,RSV 感染で入院した生後 1~24 ヵ月の児を登録した.参加者を,ジレソビル(体重に基づき 10~40 mg)を 1 日 2 回,5 日間投与する群と,プラセボを投与する群に 2:1 の割合で無作為に割り付けた.主要評価項目は,ワン細気管支炎臨床スコア(総スコアの範囲は 0~12 で,数値が高いほど徴候・症状の重症度が高いことを示す)のベースラインから 3 日目まで(初回投与の 48 時間後と定義)の変化量とした.intention-to-treat 集団は,RSV 感染が確認され,ジレソビルまたはプラセボの投与を 1 回以上受けたすべての参加者とした.安全性解析対象集団は,ジレソビルまたはプラセボの投与を 1 回以上受けたすべての参加者とした.

結 果

intention-to-treat 集団は 244 例,安全性解析対象集団は 302 例であった.3 日目におけるワン細気管支炎臨床スコアのベースラインからの低下は,ジレソビル群のほうがプラセボ群よりも有意に大きかった(-3.4 ポイント [95%信頼区間 {CI} -3.7~-3.1] 対 -2.7 ポイント [95% CI -3.1~-2.2],差 -0.8 ポイント [95% CI -1.3~-0.3],P=0.002).5 日目における RSV ウイルス量の減少は,ジレソビル群のほうがプラセボ群よりも大きかった(-2.5 log10 コピー/mL 対 -1.9 log10 コピー/mL,差 -0.6 log10 コピー/mL [95% CI -1.1~-0.2]).事前に規定した,ベースライン時の細気管支炎スコアが 8 以上の参加者,および生後 6 ヵ月以下の参加者のサブグループにおいても,スコアの改善が認められた.薬剤またはプラセボに関連する有害事象の発現率は,ジレソビル群 16%,プラセボ群 13%であった.試験担当医師により薬剤またはプラセボに関連すると評価された有害事象で,とくに頻度が高かったのは下痢(それぞれ参加者の 4%と 2%),肝酵素値上昇(3%と 3%),皮疹(2%と 1%)であった.ジレソビル群では,15 例(9%)に耐性関連変異が同定された.

結 論

RSV 感染で入院した乳幼児において,ジレソビル投与により細気管支炎の徴候・症状が軽減した.安全性の懸念は認められなかった.(上海アーク バイオファーマシューティカル社から研究助成を受けた.AIRFLO 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04231968)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 391 : 1096 - 107. )