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September 26, 2024 Vol. 391 No. 12

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血友病 B の成人患者に対するフィダナコゲン エラパルボベクによる遺伝子治療
Gene Therapy with Fidanacogene Elaparvovec in Adults with Hemophilia B

A. Cuker and Others

背景

フィダナコゲン エラパルボベク(fidanacogene elaparvovec)は,血友病 B に対する,高活性のヒト第 IX 因子変異体(FIX-R338L/FIX-Padua)を発現するアデノ随伴ウイルス(AAV)遺伝子治療ベクターであり,第 1~2a 相試験で第 IX 因子活性の維持との関連が認められた.

方 法

フィダナコゲン エラパルボベク 5×1011 ベクターゲノムコピー/kg 体重の第 3 相非盲検試験を行った.血友病 B を有する第 IX 因子活性 2%以下の 18~65 歳の男性が,第 IX 因子濃縮製剤による定期補充療法を 6 ヵ月以上受けていた場合,スクリーニングに適格とした.主要評価項目は,非劣性を検証するものとし,フィダナコゲン エラパルボベクによる治療後 12 週~15 ヵ月の年間出血率(治療した出血エピソードと治療しなかった出血エピソード)を,定期補充療法を受けていた導入期と比較した.優越性,追加の有効性評価項目,安全性も評価した.

結 果

導入試験のスクリーニングを受けた 316 例のうち,204 例(64.6%)が不適格であり,188 例(59.5%)は抗 AAV 中和抗体の存在がその理由であった.フィダナコゲン エラパルボベクの投与を受けた 45 例のうち,44 例が 15 ヵ月以上の追跡調査を完了した.すべての出血エピソードの年間出血率は 71%減少し,ベースライン時に 4.42(95%信頼区間 [CI] 1.80~7.05)であったのが,遺伝子治療後は 1.28(95% CI 0.57~1.98)となり,治療間の差は -3.15 件(95% CI -5.46~-0.83,P=0.008)であった.この結果は,フィダナコゲン エラパルボベクの定期補充療法に対する非劣性,および優越性を示している.15 ヵ月の時点で,SynthASil による凝固一段法で測定した第 IX 因子活性の平均は 26.9%(中央値 22.9%,範囲 1.9~119.0)であった.計 28 例(62%)が,アミノトランスフェラーゼ上昇または第 IX 因子活性低下(あるいはその両方)に対して,グルココルチコイドの投与を受けた.投与は 11~123 日に開始された.注入に関連する重篤な有害事象,血栓イベント,第 IX 因子インヒビターの発生,悪性疾患は観察されなかった.

結 論

フィダナコゲン エラパルボベクは,血友病 B 患者の治療において定期補充療法よりも優れ,出血の減少と,第 IX 因子の安定した発現が得られた.(ファイザー社から研究助成を受けた.BENEGENE-2 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03861273)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 391 : 1108 - 18. )