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September 26, 2024 Vol. 391 No. 12

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潰瘍性大腸炎に対する抗 TL1A モノクローナル抗体ツリソキバルトの第 2 相試験
Phase 2 Trial of Anti-TL1A Monoclonal Antibody Tulisokibart for Ulcerative Colitis

B.E. Sands and Others

背景

ツリソキバルト(tulisokibart)は,中等症~重症の活動性潰瘍性大腸炎の治療薬として開発中の,抗腫瘍壊死因子様サイトカイン 1A(TL1A)モノクローナル抗体である.効果が得られる可能性が高い患者を同定する目的で,遺伝子診断検査がデザインされた.

方 法

グルココルチコイド依存性であるか,潰瘍性大腸炎に対する従来の治療または先進治療が無効であった患者を,ツリソキバルト(1 日目に 1,000 mg,2,6,10 週目に 500 mg)を静脈内投与する群と,プラセボを投与する群に無作為に割り付けた.コホート 1 には,効果が得られる可能性の検査の結果にかかわらず患者を組み入れた.コホート 2 には,効果が得られる可能性が陽性であった患者のみを組み入れた.主要解析はコホート 1 を対象に行い,主要評価項目は 12 週の時点での臨床的寛解とした.効果が得られる可能性が陽性であったコホート 1 とコホート 2 の患者を統合し,この集団における有効性について事前に規定した解析を行った.

結 果

コホート 1 では 135 例が無作為化された.臨床的寛解が得られた患者の割合は,ツリソキバルト群のほうがプラセボ群よりも有意に高かった(26% 対 1%,差 25 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] 14~37,P<0.001).コホート 2 では 43 例が無作為化された.効果が得られる可能性が陽性であった患者は,両コホートを合わせて 75 例であった.効果が得られる可能性が陽性であった患者(コホート 1・2 の統合)では,臨床的寛解が得られた患者の割合は,ツリソキバルト群のほうがプラセボ群よりも高かった(32% 対 11%,差 21 パーセントポイント,95% CI 2~38,P=0.02).登録された全例において,有害事象の発現率はツリソキバルト群とプラセボ群とで同程度であり,有害事象の大部分は軽度~中等度であった.

結 論

この短期試験では,中等症~重症の活動性潰瘍性大腸炎患者において,ツリソキバルトは,臨床的寛解の導入に関してプラセボよりも有効であった.(プロメテウス バイオサイエンシズ社 [メルク社の子会社] から研究助成を受けた.ARTEMIS-UC 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04996797)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 391 : 1119 - 29. )