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July 11, 2024 Vol. 391 No. 2

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2 型糖尿病患者の慢性腎臓病に対するセマグルチドの効果
Effects of Semaglutide on Chronic Kidney Disease in Patients with Type 2 Diabetes

V. Perkovic and Others

背景

2 型糖尿病と慢性腎臓病を有する患者は,腎不全,心血管イベント,死亡のリスクが高い.セマグルチドによる治療によって,これらのリスクが軽減するかは明らかでない.

方 法

2 型糖尿病と慢性腎臓病(推算糸球体濾過量 [eGFR] 50~75 mL/分/1.73 m2 体表面積かつ尿中アルブミン/クレアチニン比 [mg/g クレアチニン] >300~<5,000,または eGFR 25~<50 mL/分/1.73 m2 かつ尿中アルブミン/クレアチニン比>100~<5,000 と定義)を有する患者を,セマグルチド 1.0 mg を週 1 回皮下投与する群と,プラセボを投与する群に無作為に割り付けた.主要転帰は主要な腎臓病イベントとし,腎不全(透析,移植,eGFR<15 mL/分/1.73 m2),eGFR のベースラインから 50%以上の低下,腎関連の原因または心血管系の原因による死亡の複合とした.事前に規定した検証的副次的転帰は階層的に検定した.

結 果

3,533 例が無作為化された(セマグルチド群 1,767 例,プラセボ群 1,766 例).事前に規定した中間解析で試験の早期中止が勧告され,試験終了時の追跡期間の中央値は 3.4 年であった.主要転帰イベントのリスクは,セマグルチド群のほうがプラセボ群よりも 24%低かった(最初のイベント 331 件 対 410 件,ハザード比 0.76,95%信頼区間 [CI] 0.66~0.88,P=0.0003).主要転帰の腎特異的な項目の複合もセマグルチド群のほうが低く(ハザード比 0.79,95% CI 0.66~0.94),心血管系の原因による死亡も同様であった(ハザード比 0.71,95% CI 0.56~0.89).検証的副次的転帰の結果はすべてセマグルチド群のほうが良好であり,プラセボ群と比較して,総 eGFR スロープは緩やか(eGFR の低下が遅いことを示す)で年間変化量の平均値の差は 1.16 mL/分/1.73 m2 であり(P<0.001),主要心血管イベントのリスクは 18%低く(ハザード比 0.82,95% CI 0.68~0.98,P=0.029),全死因死亡リスクは 20%低かった(ハザード比 0.80,95% CI 0.67~0.95,P=0.01).重篤な有害事象が報告された参加者の割合は,セマグルチド群のほうがプラセボ群よりも低かった(49.6% 対 53.8%).

結 論

2 型糖尿病と慢性腎臓病を有する患者において,セマグルチドは,臨床的に重要な腎転帰のリスクと,心血管系の原因による死亡のリスクを低下させた.(ノボ ノルディスク社から研究助成を受けた.FLOW 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03819153)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 391 : 109 - 21. )