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July 11, 2024 Vol. 391 No. 2

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抗体関連型拒絶反応に対するフェルザルタマブの無作為化第 2 相試験
A Randomized Phase 2 Trial of Felzartamab in Antibody-Mediated Rejection

K.A. Mayer and Others

背景

抗体関連型拒絶反応は,移植腎不全の主な原因である.同種抗体とナチュラルキラー(NK)細胞が引き起こす移植腎障害を抑制するための CD38 の標的化は,治療選択肢となる可能性がある.

方 法

第 2 相二重盲検無作為化プラセボ対照試験で,移植後 180 日以上経過後に抗体関連型拒絶反応が出現した患者を,CD38 モノクローナル抗体フェルザルタマブ(felzartamab,16 mg/kg 体重)を 9 回静脈内投与する群と,プラセボを投与する群に割り付け,6 ヵ月間投与したあと,6 ヵ月間観察した.主要転帰はフェルザルタマブの安全性と副作用プロファイルとした.重要な副次的転帰は,24 週と 52 週の時点での腎生検の結果,ドナー特異的抗体値,末梢血 NK 細胞数,ドナー由来無細胞 DNA 値とした.

結 果

22 例が無作為化された(フェルザルタマブ群 11 例,プラセボ群 11 例).移植から試験組入れまでの期間の中央値は 9 年であった.フェルザルタマブ群の 8 例に,軽度または中等度の注入に伴う反応(インフュージョンリアクション)が発現した.重篤な有害事象は,フェルザルタマブ群の 1 例とプラセボ群の 4 例に発現した.プラセボ群の 1 例が移植腎喪失にいたった.24 週の時点で,形態学的な抗体関連型拒絶反応が消失していた割合は,フェルザルタマブ群(11 例中 9 例 [82%])のほうがプラセボ群(10 例中 2 例 [20%])よりも高く,差は 62 パーセントポイント(95%信頼区間 [CI] 19~100),リスク比は 0.23(95% CI 0.06~0.83)であった.微小血管炎症スコアの中央値は,フェルザルタマブ群のほうがプラセボ群よりも低く(0 対 2.5),差の平均値は -1.95(95% CI -2.97~-0.92)であった.抗体関連型拒絶反応の確率を反映する分子スコア(0.17 対 0.77)と,ドナー由来無細胞 DNA 値(0.31% 対 0.82%)もフェルザルタマブ群のほうが低かった.52 週の時点で,フェルザルタマブの効果が認められた 9 例中 3 例で抗体関連型拒絶反応の再出現が報告され,分子活性とバイオマーカーの値がベースライン値近くまで上昇していた.

結 論

抗体関連型拒絶反応患者において,フェルザルタマブは許容可能な安全性プロファイルと副作用プロファイルを示した.(モルフォシス社,ヒューマン・イミュノロジー・バイオサイエンス社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT05021484,EudraCT 登録番号 2021-000545-40)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 391 : 122 - 32. )