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October 3, 2024 Vol. 391 No. 13

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筋層浸潤性膀胱癌に対する標準的リンパ節郭清と拡大リンパ節郭清との比較
Standard or Extended Lymphadenectomy for Muscle-Invasive Bladder Cancer

S.P. Lerner and Others

背景

膀胱全摘除術を受ける限局性筋層浸潤性膀胱癌患者に拡大リンパ節郭清を施行した場合,標準的リンパ節郭清と比較して,無病生存と全生存が延長するかは不明である.

方 法

臨床病期が T2(筋層に限局)~T4a(隣接臓器に浸潤)で,リンパ節転移 2 個以下(N0,N1,N2)の限局性筋層浸潤性膀胱癌患者を,両側標準的リンパ節郭清(両側骨盤内リンパ節郭清)を行う群と,総腸骨リンパ節,坐骨前リンパ節,仙骨前リンパ節を切除する拡大リンパ節郭清を行う群に,1:1 の割合で無作為に割り付けた.無作為化は手術中に,術前補助化学療法の既往と種類,腫瘍の病期(T2 対 T3 または T4a),ズーブロットのパフォーマンスステータススコア(0 または 1 対 2;スコアは 0~4 点で,数値が高いほど障害が重度であることを示す)で層別化して行った.主要転帰は無病生存とした.全生存と安全性も評価した.

結 果

組み入れられた 658 例のうち,無作為化され,適格であった 592 例が,拡大リンパ節郭清群(292 例)と標準的リンパ節郭清群(300 例)に割り付けられた.米国とカナダの 27 施設で 36 人の外科医が手術を行った.患者の 57%が術前補助化学療法を受けていた.追跡期間中央値 6.1 年の時点で,再発または死亡は拡大リンパ節郭清群の 130 例(45%)と標準的リンパ節郭清群の 127 例(42%)に発生し,推定 5 年無病生存率はそれぞれ 56%と 60%であった(再発または死亡のハザード比 1.10,95%信頼区間 [CI] 0.86~1.40,P=0.45).5 年全生存率は拡大リンパ節郭清群 59%,標準的リンパ節郭清群 63%であった(死亡のハザード比 1.13,95% CI 0.88~1.45).グレード 3~5 の有害事象は,拡大リンパ節郭清群の 157 例(54%)と標準的リンパ節郭清群の 132 例(44%)に発現し,術後 90 日以内の死亡はそれぞれ 19 例(7%)と 7 例(2%)に発生した.

結 論

膀胱全摘除術を受ける筋層浸潤性膀胱癌患者に拡大リンパ節郭清を施行した場合,標準的リンパ節郭清と比較して,無病生存と全生存が延長することはなく,周術期の合併症発生率と死亡率が高くなった.(米国国立がん研究所,カナダがん協会から研究助成を受けた.SWOG S1011 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号NCT01224665)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 391 : 1206 - 16. )