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October 3, 2024 Vol. 391 No. 13

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閉塞性睡眠時無呼吸と肥満の治療に用いるチルゼパチド
Tirzepatide for the Treatment of Obstructive Sleep Apnea and Obesity

A. Malhotra and Others

背景

閉塞性睡眠時無呼吸は,睡眠中の呼吸障害を特徴とし,重大な心血管系合併症を伴う.過剰な脂肪蓄積は,病因論上の危険因子である.チルゼパチドが治療薬となる可能性がある.

方 法

中等症~重症の閉塞性睡眠時無呼吸と肥満を有する成人を対象に,2 件の第 3 相二重盲検無作為化比較試験を行った.ベースライン時に気道陽圧(PAP)療法を受けていなかった患者を試験 1,ベースライン時に PAP 療法を受けていた患者を試験 2 に組み入れた.参加者を,チルゼパチドを最大耐用量(10 mg または 15 mg)で 52 週間投与する群と,プラセボを投与する群に 1:1 の割合で割り付けた.主要評価項目は,無呼吸低呼吸指数(AHI;睡眠 1 時間あたりの無呼吸・低呼吸の回数)のベースラインからの変化量とした.多重性を制御した重要な副次的評価項目は,AHI の変化量(%),体重の変化量(%),低酸素負荷の変化量,患者報告による睡眠障害の変化量,高感度 C 反応性蛋白(hsCRP)値の変化量,収縮期血圧の変化量などとした.

結 果

ベースライン時の AHI の平均は,試験 1 では 51.5 回/時,試験 2 では 49.5 回/時であり,体格指数(BMI;体重 [kg]/身長 [m]2)の平均はそれぞれ 39.1 と 38.7 であった.試験 1 では,52 週の時点での AHI の変化量の平均は,チルゼパチド群 -25.3 回/時(95%信頼区間 [CI] -29.3~-21.2),プラセボ群 -5.3 回/時(95% CI -9.4~-1.1)であり,治療間の推定差は -20.0 回/時(95% CI -25.8~-14.2)であった(P<0.001).試験 2 では,52 週の時点での AHI の変化量の平均は,チルゼパチド群 -29.3 回/時(95% CI -33.2~-25.4),プラセボ群 -5.5 回/時(95% CI -9.9~-1.2)であり,治療間の推定差は -23.8 回/時(95% CI -29.6~-17.9)であった(P<0.001).チルゼパチド群では,事前に規定した重要な副次的評価項目のすべての測定値に,プラセボ群と比較して有意な改善が認められた.チルゼパチド群でとくに報告頻度が高かった有害事象は消化器系症状であり,大部分が軽度~中等度であった.

結 論

中等症~重症の閉塞性睡眠時無呼吸と肥満を有する成人において,チルゼパチドにより,AHI,体重,低酸素負荷,hsCRP 値,収縮期血圧が低下し,睡眠関連の患者報告アウトカムが改善した.(イーライリリー社から研究助成を受けた.SURMOUNT-OSA 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT05412004)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 391 : 1193 - 205. )