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October 10, 2024 Vol. 391 No. 14

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心筋梗塞後のβ遮断薬の中断と継続との比較
Beta-Blocker Interruption or Continuation after Myocardial Infarction

J. Silvain and Others

背景

心筋梗塞後のβ遮断薬の適切な投与期間は明らかにされていない.合併症のない心筋梗塞の既往を有する患者に対する長期β遮断薬投与を,副作用の軽減と,QOL の改善を目的として中断することの安全性と有効性に関するデータが必要である.

方 法

フランスの 49 施設で多施設共同非盲検無作為化非劣性試験を行い,心筋梗塞の既往を有する患者を,β遮断薬投与を中断する群と継続する群に,1:1 の割合で無作為に割り付けた.患者はすべて,長期β遮断薬投与中の左室駆出率が 40%以上であり,過去 6 ヵ月間に心血管イベントの既往はなかった.主要評価項目は,最長追跡時(最短 1 年)の,死亡,非致死的心筋梗塞,非致死的脳卒中,心血管系の原因による入院の複合とし,非劣性(両側 95%信頼区間の上限の群間差が 3 パーセントポイント未満と定義)解析で評価した.主な副次的評価項目は QOL の変化とし,EuroQol 5 項目(EQ-5D)質問票を用いて測定した.

結 果

3,698 例が無作為化され,1,846 例が中断群,1,852 例が継続群に割り付けられた.最後の心筋梗塞から無作為化までの期間の中央値は 2.9 年(四分位範囲 1.2~6.4),追跡期間の中央値は 3.0 年(四分位範囲 2.0~4.0)であった.主要転帰イベントは,中断群の 1,812 例中 432 例(23.8%)と,継続群の 1,821 例中 384 例(21.1%)に発生し(リスク差 2.8 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] <0.1~5.5),ハザード比は 1.16(95% CI 1.01~1.33,非劣性の P=0.44)であった.β遮断薬の中断は患者の QOL を改善しないと思われた.

結 論

心筋梗塞の既往を有する患者の長期β遮断薬投与を中断する戦略に,β遮断薬を継続する戦略に対する非劣性は認められなかった.(フランス保健省,ACTION 研究グループから研究助成を受けた.ABYSS 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03498066,EudraCT 登録番号 2017-003903-23)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 391 : 1277 - 86. )