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October 24, 2024 Vol. 391 No. 16

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左室駆出率が軽度低下または保たれた心不全に対するフィネレノン
Finerenone in Heart Failure with Mildly Reduced or Preserved Ejection Fraction

S.D. Solomon and Others

背景

ステロイド性ミネラルコルチコイド受容体(MR)拮抗薬は,左室駆出率が低下した心不全患者の合併症発生率と死亡率を低下させるが,左室駆出率が軽度低下または保たれた心不全患者における有効性は確立されていない.左室駆出率が軽度低下または保たれた心不全患者における,非ステロイド性の MR 拮抗薬フィネレノンの有効性と安全性に関するデータが必要である.

方 法

国際共同二重盲検試験を行い,左室駆出率 40%以上の心不全患者を,通常の治療に加えて,フィネレノン(最大用量 20 mg または 40 mg を 1 日 1 回)を投与する群と,マッチさせたプラセボを投与する群に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要転帰は,心不全悪化によるすべてのイベント(心不全による予定外入院の初発/再発または緊急受診と定義)と,心血管系の原因による死亡の複合とした.主要転帰の各項目と安全性も評価した.

結 果

追跡期間中央値 32 ヵ月の時点で,主要転帰イベントは,フィネレノン群では 3,003 例中 624 例に 1,083 件発生し,プラセボ群では 2,998 例中 719 例に 1,283 件発生した(率比 0.84,95%信頼区間 [CI] 0.74~0.95,P=0.007).心不全悪化によるすべてのイベントの発生数は,フィネレノン群 842 件,プラセボ群 1,024 件であった(率比 0.82,95% CI 0.71~0.94,P=0.006).心血管系の原因による死亡はそれぞれ 8.1%と 8.7%に発生した(ハザード比 0.93,95% CI 0.78~1.11).フィネレノンは高カリウム血症のリスク上昇,低カリウム血症のリスク低下と関連した.

結 論

左室駆出率が軽度低下または保たれた心不全患者において,フィネレノンは,心不全悪化によるすべてのイベントおよび心血管系の原因による死亡の複合発生率を,プラセボと比較して有意に低下させた.(バイエル社から研究助成を受けた.FINEARTS-HF 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04435626)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 391 : 1475 - 85. )