October 24, 2024 Vol. 391 No. 16
デュピュイトラン拘縮に対するコラゲナーゼ注射と部分腱膜切除術との比較
Collagenase Injection versus Limited Fasciectomy for Dupuytren’s Contracture
J. Dias and Others
デュピュイトラン拘縮の治療法には,部分腱膜切除術とコラゲナーゼ注射がある.これらの治療法の有効性の比較はあまり行われていない.
中等度のデュピュイトラン拘縮を有する患者を対象に,コラゲナーゼ注射を部分腱膜切除術と比較する非盲検多施設共同実用的 2 群無作為化比較非劣性試験を行った.主要転帰は,患者の報告に基づき手の健康を評価する質問票である,手の健康患者評価尺度(PEM)の,治療後 1 年の時点でのスコアとした.PEM スコアの範囲は 0~100 で,数値が高いほど転帰が不良であることを示す.非劣性マージンは 6 ポイントと事前に規定した.
計 672 例が,コラゲナーゼ注射を受ける群と部分腱膜切除術を受ける群に割り付けられた(各群 336 例).主要解析の対象は 599 例で,内訳はコラゲナーゼ群 314 例,部分腱膜切除術群 285 例であった.1 年の時点での PEM スコアの平均は,コラゲナーゼ群のデータを入手しえた 284 例で 17.8,部分腱膜切除術群のデータを入手しえた 250 例で 11.9 であった(差の推定値 5.9 ポイント,95%信頼区間 [CI] 3.1~8.8,非劣性の片側 P=0.49).2 年の時点で,データを入手しえた患者(コラゲナーゼ群 229 例,部分腱膜切除術群 197 例)における PEM スコアの平均の差の推定値は,7.2 ポイント(95% CI 4.2~10.9)であった.治療による中等度または重度の合併症は,コラゲナーゼ注射を受けた患者の 1.8%と,部分腱膜切除術を受けた患者の 5.1%に発生した.拘縮の再発により,それぞれ 14.6%と 3.4%が再介入を要した.
コラゲナーゼ注射は,治療後 1 年の時点での PEM スコアに関して,部分腱膜切除術に対して非劣性ではなかった.(英国国立健康研究所 医療技術評価プログラムから研究助成を受けた.DISC 試験:ISRCTN 登録番号 ISRCTN18254597)