October 31, 2024 Vol. 391 No. 17
変形性膝関節症と肥満を有する人に対するセマグルチドの週 1 回投与
Once-Weekly Semaglutide in Persons with Obesity and Knee Osteoarthritis
H. Bliddal and Others
減量は,疼痛をはじめとする変形性膝関節症の症状を軽減することが示されている.グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬が,肥満者の変形性膝関節症の転帰に及ぼす効果は十分に検討されていない.
11 ヵ国 61 施設で 68 週間の二重盲検無作為化プラセボ対照試験を行った.肥満(体格指数 [BMI;体重 {kg}/身長 {m}2] 30 以上)を有し,臨床的・放射線学的に中等度の変形性膝関節症と診断され,中等度以上の疼痛を有する参加者を,身体活動と低カロリー食に関するカウンセリングに加えて,セマグルチド(2.4 mg)を週 1 回皮下投与する群と,プラセボを投与する群に 2:1 の割合で無作為に割り付けた.主要評価項目は,ベースラインから 68 週目までの体重の変化量(%)と,ウエスタンオンタリオ大学・マクマスター大学変形性関節症指数(WOMAC)の疼痛スコア(0~100 で,数値が高いほど転帰が不良であることを示す)の変化量とした.36 項目の短縮版健康調査票(SF-36)バージョン 2 の身体機能スコア(0~100 で,数値が高いほど健康状態が良好であることを示す)を,重要な検証的副次的評価項目とした.
407 例が登録された.平均年齢は 56 歳,平均 BMI は 40.3,平均 WOMAC 疼痛スコアは 70.9 であった.参加者の 81.6%が女性であった.ベースラインから 68 週目までの体重の変化量の平均は,セマグルチド群 -13.7%,プラセボ群 -3.2%であった(P<0.001).68 週目における WOMAC 疼痛スコアの変化量の平均は,セマグルチド群 -41.7 点,プラセボ群 -27.5 点であった(P<0.001).SF-36 身体機能スコアは,セマグルチド群の参加者のほうが,プラセボ群の参加者よりも大きく改善した(変化量の平均 12.0 点 対 6.5 点,P<0.001).重篤な有害事象の発現率は 2 群で同程度であった.試験レジメンの永続的な中止にいたった有害事象は,セマグルチド群の 6.7%とプラセボ群の 3.0%に発現し,中止の理由は胃腸障害がもっとも多かった.
肥満と,中等度~重度の疼痛を伴う変形性膝関節症を有する参加者において,セマグルチドの週 1 回注射製剤による治療は,プラセボと比較して有意に大きな体重の減少と,変形性膝関節症関連痛の軽減をもたらした.(ノボ ノルディスク社から研究助成を受けた.STEP 9 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT05064735)