The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

November 7, 2024 Vol. 391 No. 18

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

高齢心筋梗塞患者に対する侵襲的治療戦略
Invasive Treatment Strategy for Older Patients with Myocardial Infarction

V. Kunadian and Others

背景

非 ST 上昇型心筋梗塞(NSTEMI)を発症した高齢者には,薬物療法のみを行う保存的戦略と,薬物療法と侵襲的治療を併用する戦略のどちらが有益であるかは明らかにされていない.

方 法

英国の 48 施設で,75 歳以上の NSTEMI 患者を対象に前向き多施設共同無作為化試験を行った.患者を,利用可能な最良の薬物療法を行う保存的戦略群と,冠動脈造影および血行再建と利用可能な最良の薬物療法を行う侵襲的戦略群に 1:1 の割合で割り付けた.フレイルの患者,併存病態の負担が大きい患者も適格とした.主要転帰は,心血管系の原因による死亡(心血管死)または非致死的心筋梗塞の複合とし,生存時間(time-to-event)解析で評価した.

結 果

1,518 例が無作為化され,753 例が侵襲的戦略群,765 例が保存的戦略群に割り付けられた.平均年齢は 82 歳で,45%が女性であり,32%がフレイルであった.中央値 4.1 年の追跡期間中,主要転帰イベントは侵襲的戦略群では 193 例(25.6%)に発生し,保存的戦略群では 201 例(26.3%)に発生した(ハザード比 0.94,95%信頼区間 [CI] 0.77~1.14,P=0.53).心血管死の発生率は,侵襲的戦略群 15.8%,保存的戦略群 14.2%であった(ハザード比 1.11,95% CI 0.86~1.44).非致死的心筋梗塞の発生率は,侵襲的戦略群 11.7%,保存的戦略群 15.0%であった(ハザード比 0.75,95% CI 0.57~0.99).手技に伴う合併症の発生率は 1%未満であった.

結 論

NSTEMI を発症した高齢者に侵襲的戦略を行った場合,保存的戦略を行った場合と比較して,中央値 4.1 年の追跡期間中に心血管死または非致死的心筋梗塞(複合主要転帰)のリスクは有意に低くはなかった.(英国心臓財団から研究助成を受けた.BHF SENIOR-RITA 試験:ISRCTN 登録番号 ISRCTN11343602)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 391 : 1673 - 84. )