November 7, 2024 Vol. 391 No. 18
病期 III 悪性黒色腫に対するダブラフェニブとトラメチニブの併用による術後補助療法の最終結果
Final Results for Adjuvant Dabrafenib plus Trametinib in Stage III Melanoma
G.V. Long and Others
BRAF V600 変異陽性の病期 III 悪性黒色腫患者を対象にダブラフェニブ+トラメチニブによる術後補助療法を検討したこの試験では,5 年間の解析で,無再発生存期間と無遠隔転移生存期間がプラセボよりも長いことが示された.全生存期間に関するデータなどの,より長期のデータが必要であった.
BRAF V600 変異陽性の病期 III 悪性黒色腫の切除を受けた患者 870 例を,ダブラフェニブ(150 mg を 1 日 2 回)+トラメチニブ(2 mg を 1 日 1 回)を 12 ヵ月間投与する群と,各剤のマッチさせたプラセボを投与する群に無作為に割り付けた.ここでは,全生存,悪性黒色腫特異的生存,無再発生存,無遠隔転移生存などの最終結果を報告する.
追跡期間中央値は,ダブラフェニブ+トラメチニブ群 8.33 年,プラセボ群 6.87 年であった.全生存の Kaplan–Meier 推定値は,ダブラフェニブ+トラメチニブ群のほうがプラセボ群よりも良好であったが,その利益は有意ではなかった(死亡のハザード比0.80,95%信頼区間 [CI] 0.62~1.01,層別化 log-rank 検定で P=0.06).生存への利益は事前に規定したサブグループのいくつかでも認められ,その一例は BRAF V600E 変異を有する悪性黒色腫患者 792 例のサブグループであった(死亡のハザード比 0.75,95% CI 0.58~0.96).無再発生存は,ダブラフェニブ+トラメチニブ群のほうがプラセボ群よりも良好であり(再発または死亡のハザード比 0.52,95% CI 0.43~0.63),無遠隔転移生存も同様であった(遠隔転移または死亡のハザード比 0.56,95% CI 0.44~0.71).新たな安全性シグナルは報告されず,これまでの報告と一致する知見であった.
10 年近く追跡した結果,病期 III 悪性黒色腫の切除を受けた患者に対するダブラフェニブ+トラメチニブによる術後補助療法は,プラセボよりも良好な無再発生存および無遠隔転移生存と関連することが示された.全生存の解析から,併用療法ではプラセボよりも死亡リスクが 20%低いことが示されたが,その利益は有意ではなかった.BRAF V600E 変異を有する悪性黒色腫患者では,併用療法によって死亡リスクが 25%低くなることが示唆された.(グラクソ・スミスクライン社,ノバルティス社から研究助成を受けた.COMBI-AD 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01682083,EudraCT 登録番号 2012-001266-15)