The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

November 14, 2024 Vol. 391 No. 19

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

切除可能胃癌に対する術前化学放射線療法
Preoperative Chemoradiotherapy for Resectable Gastric Cancer

T. Leong and Others

背景

欧米諸国では,切除可能胃癌の現在の標準治療は周術期化学療法である.術前化学放射線療法の追加が検討されているが,周術期化学療法のみを行った場合と比較したデータは限られている.

方 法

国際共同第 3 相試験を行い,切除可能な胃腺癌または食道胃接合部腺癌の患者を,周術期化学療法に術前化学放射線療法を追加する群と,周術期化学療法のみを行う(対照)群に無作為に割り付けた.両群の患者に,エピルビシン+シスプラチン+フルオロウラシル(ECF),またはフルオロウラシル+ロイコボリン+オキサリプラチン+ドセタキセル(FLOT)を術前と術後に投与した.術前化学放射線療法群の患者には化学放射線療法(45 Gy/25 分割照射+フルオロウラシル静注)も行った.主要評価項目は全生存とし,副次的評価項目は無増悪生存,病理学的完全奏効,毒性,QOL などとした.

結 果

オーストラレーシア,カナダ,欧州の 70 施設で計 574 例が無作為化され,286 例が術前化学放射線療法群,288 例が周術期化学療法群に割り付けられた.術前化学放射線療法群は,周術期化学療法群よりも病理学的完全奏効の割合が高く(17% 対 8%),切除後に腫瘍の病期が改善した割合も高かった.追跡期間中央値 67 ヵ月の時点で,全生存期間と無増悪生存期間に群間で有意差は認められなかった.全生存期間の中央値は,術前化学放射線療法群 46 ヵ月,周術期化学療法群 49 ヵ月であり(死亡のハザード比 1.05,95%信頼区間 0.83~1.31),無増悪生存期間の中央値はそれぞれ 31 ヵ月と 32 ヵ月であった.治療関連毒性は 2 群で同様であった.

結 論

切除可能な胃腺癌または食道胃接合部腺癌の患者に対する周術期化学療法に術前化学放射線療法を追加しても,周術期化学療法のみを行った場合と比較して,全生存期間は延長しなかった.(オーストラリア国立保健医療研究評議会ほかから研究助成を受けた.TOPGEAR 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01924819)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 391 : 1810 - 21. )