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November 21, 2024 Vol. 391 No. 20

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カップルを対象とした全国規模の遺伝子キャリアスクリーニング
Nationwide, Couple-Based Genetic Carrier Screening

E.P. Kirk and Others

背景

ゲノムシーケンシング技術により,生殖可能なカップルのうち,常染色体潜性または X 連鎖性の遺伝性疾患を有する子をもつ可能性が,一般集団のカップルよりも高いカップルの同定が可能になった.

方 法

「マッケンジーのミッション」は,オーストラリア全土のカップルを対象に生殖に関する遺伝子キャリアスクリーニングを提供するプロジェクトである.このようなスクリーニングプログラムの実行可能性,受容可能性,転帰を検討した.妊娠前または妊娠初期のカップルに対して,医療提供者がスクリーニングの受診を提案した.1,281 以上の遺伝子の検査を行い,結果をカップルに提供した.目的は,参加者に対する心理社会的影響,参加者全員にとってのスクリーニングの受容可能性,スクリーニング対象疾患の子をもつ可能性が高いことが同定されたカップルの生殖に関する選択を確認することであった.

結 果

研究に登録された生殖可能なカップル 10,038 組のうち,9,107 組(90.7%)がスクリーニングを完了し,175 組(1.9%)が,スクリーニング対象の遺伝性疾患の子をもつ可能性が高いことが新たに同定された.これらの疾患には 90 の異なる遺伝子の病的バリアントが関与しており,これらの疾患の 74.3%が常染色体潜性遺伝であった.結果受領後 3 ヵ月の時点で,可能性が高いことが新たに同定されたカップルの 76.6%が,罹患した子をもつことを避けるために,生殖医療を利用したか,利用する計画を立てていた.可能性が高いことが新たに同定されたカップルは,可能性が低いカップルよりも不安が大きかった.意思決定に対する後悔の大きさの中央値は,いずれの結果の群でも低く,参加者の 98.9%がスクリーニングを受容可能であると認識していた.

結 論

カップルを対象とした生殖に関する遺伝子キャリアスクリーニングは,参加者にとっておおむね受容可能であり,生殖に関する意思決定の情報源として用いられた.多様性があり,地理的に分散した集団に対するスクリーニングの提供は実行可能であった.(オーストラリア政府医学研究将来基金から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04157595)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 391 : 1877 - 89. )