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November 21, 2024 Vol. 391 No. 20

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硬膜下血腫に対する補助的中硬膜動脈塞栓術
Adjunctive Middle Meningeal Artery Embolization for Subdural Hematoma

J.M. Davies and Others

背景

亜急性および慢性の硬膜下血腫は頻度が高く,外科的除去後に再発することが多い.補助的中硬膜動脈塞栓術の再手術のリスクに対する効果は明らかにされていない.

方 法

前向き多施設共同介入適応デザイン試験を行い,外科的除去の適応となる症状を伴う亜急性または慢性の硬膜下血腫患者を,中硬膜動脈塞栓術と手術を併用する群(治療群)と,手術のみを行う群(対照群)に無作為に割り付けた.主要評価項目は,指標治療後 90 日以内に再手術を要した血腫の再発または進行とした.副次的臨床評価項目は 90 日の時点での神経機能低下とし,修正ランキンスケールにより非劣性解析(リスク差のマージンは 15 パーセントポイント)で評価した.

結 果

197 例が治療群,203 例が対照群に無作為に割り付けられた.400 例中 136 例(34.0%)が無作為化前に手術を受けていた.再手術を要した血腫の再発または進行は,治療群では 8 例(4.1%)に発生したのに対し,対照群では 23 例(11.3%)に発生した(相対リスク 0.36,95%信頼区間 [CI] 0.11~0.80,P=0.008).神経機能低下は,治療群の 11.9%と対照群の 9.8%に発生した(リスク差 2.1 パーセントポイント,95% CI -4.8~8.9).90 日死亡率は治療群 5.1%,対照群 3.0%であった.30 日目までに,治療群の 4 例(2.0%)に塞栓術手技に関連する重篤な有害事象が発現し,うち 2 例は障害を伴う脳梗塞であった.それ以上の事象は 180 日目まで発現しなかった.

結 論

外科的除去の適応となる症状を伴う亜急性または慢性の硬膜下血腫患者において,中硬膜動脈塞栓術と手術の併用は,再手術を要する血腫の再発または進行のリスクが,手術単独よりも低いことと関連した.硬膜下血腫の管理における中硬膜動脈塞栓術の安全性を評価するためには,さらなる試験が必要である.(メドトロニック社から研究助成を受けた.EMBOLISE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04402632)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 391 : 1890 - 900. )