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November 21, 2024 Vol. 391 No. 20

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非急性硬膜下血腫に対する中硬膜動脈塞栓術
Middle Meningeal Artery Embolization for Nonacute Subdural Hematoma

J. Liu and Others

背景

亜急性または慢性の硬膜下血腫患者に対する中硬膜動脈塞栓術の効果は明らかにされていない.

方 法

中国において,症状および圧排効果(mass effect)を伴う非急性硬膜下血腫患者を対象に,多施設共同非盲検無作為化試験を行った.患者を,外科医の判断で穿頭ドレナージを行う群と,非外科的治療を行う群に割り付けた.その後,各群の患者を,液体塞栓物質を用いて中硬膜動脈塞栓術を行う群と,通常治療を行う群に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.開頭術を要する状態の患者は除外した.主要転帰は,無作為化後 90 日以内の硬膜下血腫の症状を伴う再発または進行とした.副次的転帰は臨床転帰と画像転帰などとした.主要安全性転帰は重篤な有害事象(死亡を含む)とした.

結 果

解析の対象は 722 例で,内訳は塞栓術群 360 例,通常治療群 362 例であった.組み入れられた患者の 78.3%が穿頭ドレナージを受けた.穿頭ドレナージと塞栓術の両方を受けた患者の 99.6%は,塞栓術後に穿頭ドレナージを受けた.90 日以内の硬膜下血腫の症状を伴う再発または進行は,塞栓術群の 24 例(6.7%)と通常治療群の 36 例(9.9%)に発生した(群間差 -3.3 パーセントポイント,95%信頼区間 -7.4~0.8,P=0.10).重篤な有害事象の発現率は,塞栓術群のほうが通常治療群よりも低かった(6.7% 対 11.6%,P=0.02).

結 論

症状を伴う非急性硬膜下血腫患者(うち 78%が穿頭ドレナージを受けた)に中硬膜動脈塞栓術を行った場合,症状を伴う再発または進行の 90 日発生率は通常治療を行った場合と同程度であったが,重篤な有害事象の発現率は低かった.(上海申康病院発展センターほかから研究助成を受けた.MAGIC-MT 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04700345)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 391 : 1901 - 12. )