November 21, 2024 Vol. 391 No. 20
晩期肝臓期の弱毒化マラリア原虫の接種の安全性と有効性
Safety and Efficacy of Immunization with a Late-Liver-Stage Attenuated Malaria Parasite
O.A.C. Lamers and Others
現在認可および承認されているマラリアのサブユニットワクチンは,マラリアに対する防御が小さく,持続期間が短い.弱毒化生熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)の接種は,防御を高める可能性のある新しいワクチン接種戦略である.
第 2 世代の遺伝的に弱毒化された寄生虫(GA2),すなわち,肝臓期まで進めた mei2 単一ノックアウト熱帯熱マラリア原虫 NF54(スポロゾイト型)の接種について,安全性,副作用プロファイル,有効性を評価する二重盲検比較臨床試験を行った.接種は感染蚊の刺咬により行った.参加者を 15 匹または 50 匹の感染蚊に刺咬させる非盲検用量漸増安全性期(ステージ A)のあと,マラリアの既往のない健康な成人を,GA2 群,早期に停止する原虫(GA1)群,プラセボ(非感染蚊に刺咬させる)群に無作為に割り付け,接種 1 回あたり 50 匹の蚊に刺咬させた(ステージ B).1 回あたり 50 匹の蚊の刺咬による接種を 3 回完了したあと,同一源の熱帯熱マラリア原虫によるコントロール下でのヒトマラリア感染に対する GA2 の防御効果を,GA1,プラセボの防御効果と比較した.主要評価項目は,有害事象の件数および重症度(ステージ A,B)と,GA2 感染蚊の刺咬後(ステージ A)およびコントロール下でのヒトマラリア感染後(ステージ B)の,血液期における熱帯熱マラリア原虫数が 100/mL を超えることとした.
有害事象は,試験群間で同程度であった.その後のコントロール下でのヒトマラリア感染に対する防御効果は,GA2 群の 9 例中 8 例(89%),GA1 群の 8 例中 1 例(13%),プラセボ群の 3 例中 0 例で観察された.熱帯熱マラリア原虫特異的多機能 CD4 陽性 T 細胞および Vδ2 陽性γδT 細胞の頻度は,GA2 の接種を受けた参加者のほうが,GA1 の接種を受けた参加者よりも有意に高かったことが観察されたが,GA2 と GA1 がそれぞれ誘導した熱帯熱マラリア原虫スポロゾイト周囲蛋白を標的とする抗体価は同程度であった.
この小規模試験では,GA2 は,好ましい免疫誘導プロファイル,および防御効果と関連した.これはさらなる評価に値する知見である.(ボンチウス財団から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04577066)