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November 28, 2024 Vol. 391 No. 21

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高頻度マイクロサテライト不安定性転移性大腸癌に対するニボルマブとイピリムマブの併用
Nivolumab plus Ipilimumab in Microsatellite-Instability–High Metastatic Colorectal Cancer

T. Andre and Others

背景

高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)またはミスマッチ修復機構欠損(dMMR)を有する転移性大腸癌患者では,標的療法を併用するか否かにかかわらず標準化学療法の転帰は不良である.ニボルマブ+イピリムマブは,MSI-H/dMMR 転移性大腸癌の非無作為化試験で臨床的利益を示している.

方 法

第 3 相非盲検試験を行い,各施設の検査で MSI-H/dMMR と判定された切除不能または転移性の大腸癌患者を,ニボルマブ+イピリムマブを投与する群,ニボルマブのみを投与する群,標的療法併用/非併用下で化学療法を行う群に,2:2:1 の割合で無作為に割り付けた.主要評価項目は,一次治療として,化学療法と比較したニボルマブ+イピリムマブの無増悪生存と,転移性癌に対する全身療法歴にかかわらず,ニボルマブ単独と比較したニボルマブ+イピリムマブの無増悪生存の 2 つとし,中央で MSI-H/dMMR が確認された患者を対象に評価した.事前に規定したこの中間解析では,1 つ目の主要評価項目(ニボルマブ+イピリムマブと化学療法との比較)を評価した.

結 果

転移性癌に対する全身療法歴のない 303 例が,ニボルマブ+イピリムマブ群と化学療法群に無作為に割り付けられ,うち 255 例は中央で MSI-H/dMMR が確認された.追跡期間中央値 31.5 ヵ月(6.1~48.4)の時点で,無増悪生存転帰(主要解析)は,ニボルマブ+イピリムマブ群のほうが化学療法群よりも有意に良好であり(両側層別化 log-rank 検定で算出した無増悪生存率の群間差の P<0.001),24 ヵ月無増悪生存率はニボルマブ+イピリムマブ群では 72%(95%信頼区間 [CI] 64~79)であったのに対し,化学療法群では 14%(95% CI 6~25)であった.24 ヵ月の時点での制限付き平均生存期間は,ニボルマブ+イピリムマブ群のほうが化学療法群よりも 10.6 ヵ月長く(95% CI 8.4~12.9),無増悪生存率の主要解析と一致する結果であった.グレード 3 または 4 の治療関連有害事象は,ニボルマブ+イピリムマブ群の 23%と化学療法群の 48%に発現した.

結 論

MSI-H/dMMR 転移性大腸癌に対する全身療法歴のない患者では,ニボルマブ+イピリムマブを投与した場合,化学療法を行った場合よりも無増悪生存期間が長かった.(ブリストル・マイヤーズ スクイブ社,小野薬品工業社から研究助成を受けた.CheckMate 8HW 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04008030)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 391 : 2014 - 26. )