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December 5, 2024 Vol. 391 No. 22

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心房細動と安定冠動脈疾患に対するエドキサバンによる抗血栓療法
Edoxaban Antithrombotic Therapy for Atrial Fibrillation and Stable Coronary Artery Disease

M.S. Cho and Others

背景

心房細動と安定冠動脈疾患を有する患者に対する長期の抗血栓薬投与戦略は,臨床ガイドラインで一貫して推奨されているにもかかわらず,無作為化試験のデータは依然として少ない.

方 法

多施設共同非盲検判定者盲検無作為化試験を行い,心房細動と安定冠動脈疾患(過去に血行再建が行われたか,内科的に管理された冠動脈疾患と定義)を有する患者を対象に,エドキサバン単剤療法と,抗血栓薬 2 剤併用療法(エドキサバン+抗血小板薬 1 剤)とを比較した.脳卒中のリスクは,CHA2DS2-VASc スコア(0~9 で,値が高いほど脳卒中のリスクが高いことを示す)に基づき評価した.主要転帰は,12 ヵ月の時点での全死因死亡,心筋梗塞,脳卒中,全身性塞栓症,予定外の緊急血行再建,大出血または臨床的に重要な非大出血の複合とした.副次的転帰は,主要虚血性イベントの複合,安全性転帰としての大出血または臨床的に重要な非大出血などとした.

結 果

韓国の 18 施設で,524 例をエドキサバン単剤療法群,516 例を抗血栓薬 2 剤併用療法群に割り付けた.平均年齢は 72.1 歳で,22.9%が女性であり,CHA2DS2-VASc スコアの平均値は 4.3 であった.12 ヵ月の時点で,主要転帰イベントは,エドキサバン単剤療法群では 34 例(Kaplan–Meier 推定値 6.8%)に発生し,抗血栓薬 2 剤併用療法群では 79 例(16.2%)に発生した(ハザード比 0.44,95%信頼区間 [CI] 0.30~0.65,P<0.001).12 ヵ月の時点での主要虚血性イベントの累積発生率は,2 群で同程度と思われた.大出血または臨床的に重要な非大出血は,エドキサバン単剤療法群では 23 例(Kaplan–Meier 推定値 4.7%)に発生し,抗血栓薬 2 剤併用療法群では 70 例(14.2%)に発生した(ハザード比 0.34,95% CI 0.22~0.53).

結 論

心房細動と安定冠動脈疾患を有する患者にエドキサバン単剤療法を行った場合,抗血栓薬 2 剤併用療法を行った場合よりも,12 ヵ月の時点での全死因死亡,心筋梗塞,脳卒中,全身性塞栓症,予定外の緊急血行再建,大出血または臨床的に重要な非大出血の複合のリスクが低かった.(心血管研究基金ほかから研究助成を受けた.EPIC-CAD 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03718559)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 391 : 2075 - 86. )