December 12, 2024 Vol. 391 No. 23
経カテーテル大動脈弁移植術を受ける患者に対する PCI
PCI in Patients Undergoing Transcatheter Aortic-Valve Implantation
J. Lønborg and Others
安定冠動脈疾患と重症大動脈弁狭窄症を有し,経カテーテル大動脈弁移植術(TAVI)を受ける患者に対して,経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を追加することの利益は明らかにされていない.
国際共同試験を行い,重症症候性大動脈弁狭窄症を有し,冠動脈 1 枝に冠血流予備量比 0.80 以下または径狭窄率 90%以上の狭窄を 1 ヵ所以上有する患者を,PCI を行う群と,保存的治療を行う群に 1:1 の割合で無作為に割り付け,全例に TAVI を施行した.主要評価項目は主要有害心イベントとし,全死因死亡,心筋梗塞,緊急血行再建の複合と定義した.出血イベント,手技に伴う合併症などの安全性を評価した.
455 例が無作為化され,227 例が PCI 群,228 例が保存的治療群に割り付けられた.年齢中央値は 82 歳(四分位範囲 78~85)で,米国胸部外科学会予測死亡リスク(STS-PROM)スコア(0~100%で,値が高いほど手技後 30 日以内の死亡リスクが高いことを示す)の中央値は 3%(四分位範囲 2~4)であった.追跡期間中央値 2 年(四分位範囲 1~4)の時点で,主要有害心イベント(主要評価項目)は,PCI 群では 60 例(26%)に発生し,保存的治療群では 81 例(36%)に発生していた(ハザード比 0.71,95%信頼区間 [CI] 0.51~0.99,P=0.04).出血イベントは,PCI 群の 64 例(28%)と保存的治療群の 45 例(20%)に発生した(ハザード比 1.51,95% CI 1.03~2.22).PCI 群では 7 例(3%)に PCI 手技関連合併症が発生した.
TAVI を受ける冠動脈疾患患者のうち,PCI を施行した患者では,追跡期間中央値 2 年の時点での全死因死亡,心筋梗塞,緊急血行再建の複合のリスクが,保存的治療を行った患者よりも低かった.(ボストン・サイエンティフィック社,デンマーク心臓財団から研究助成を受けた.NOTION-3 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03058627)