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December 12, 2024 Vol. 391 No. 23

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トランスサイレチン型心アミロイドーシスに対するネクシグラン ジクルメランによる CRISPR-Cas9 遺伝子編集
CRISPR-Cas9 Gene Editing with Nexiguran Ziclumeran for ATTR Cardiomyopathy

M. Fontana and Others

背景

心筋症を伴うトランスサイレチン型アミロイドーシス(ATTR-CM)は,進行性の,死にいたることの多い疾患である.ネクシグラン ジクルメラン(nexiguran ziclumeran [nex-z])は,トランスサイレチンをコードする遺伝子(TTR)を標的とする CRISPR-Cas9(クラスター化された,規則的に間隔があいた短い回文構造の繰り返し,および関連する Cas9 エンドヌクレアーゼ)をベースとする,試験中の治療法である.

方 法

第 1 相非盲検試験で,ATTR-CM 患者に nex-z を単回静脈内注入した.主要目的は,nex-z の安全性や,血清 TTR 値を含む薬力学の評価などとした.副次的評価項目は,ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体 N 端フラグメント(NT-proBNP)値の変化,高感度心筋トロポニン T 値の変化,6 分間歩行距離の変化,ニューヨーク心臓協会(NYHA)分類の変化などとした.

結 果

36 例が nex-z の投与を受け,12 ヵ月以上の追跡を完了した.36 例のうち,50%は NYHA 分類 III で,31%は遺伝性 ATTR-CM であった.血清 TTR 値のベースラインからの変化率の平均は,28 日の時点で -89%(95%信頼区間 [CI] -92~-87),12 ヵ月の時点で -90%(95% CI -93~-87)であった.有害事象は 34 例で報告された.一過性の注入関連反応が 5 例に,治療に関連すると評価された,一過性の肝酵素上昇が 2 例に発現した.重篤な有害事象は 14 例で報告され,大部分は ATTR-CM と一致した.NT-proBNP 値のベースラインから 12 ヵ月までの変化(factor change)の幾何平均は 1.02(95% CI 0.88~1.17)であり,高感度心筋トロポニン T 値については 0.95(95% CI 0.89~1.01)であった.ベースラインから 12 ヵ月までの 6 分間歩行距離の変化の中央値は,5 m(四分位範囲 -33~49)であった.NYHA 分類は,患者の 92%で改善または不変であった.

結 論

ATTR-CM 患者を対象としたこの第 1 相試験では,nex-z の単回投与は,一過性の注入関連反応と,血清 TTR 値の一貫した,迅速,持続的な減少と関連した.(インテリア セラピューティクス社,リジェネロン ファーマシューティカルズ社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04601051)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 391 : 2231 - 41. )