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December 19, 2024 Vol. 391 No. 24

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癌悪液質の治療に用いるポンセグロマブ
Ponsegromab for the Treatment of Cancer Cachexia

J.D. Groarke and Others

背景

悪液質は,癌の合併症として頻度が高く,死亡リスクの上昇と関連している.癌悪液質患者では,循環血中サイトカインである増殖分化因子 15(GDF-15)の濃度が高い.GDF-15 を阻害するヒト化モノクローナル抗体であるポンセグロマブ(ponsegromab)は,癌悪液質患者を対象とした小規模非盲検第 1b 相試験において,血清 GDF-15 濃度の低下に加えて,体重,食欲,身体活動の改善と関連した.

方 法

12 週間の第 2 相無作為化二重盲検試験を行い,血清 GDF-15 濃度高値(1,500 pg/mL 以上)の癌悪液質患者を,ポンセグロマブを 100 mg 投与する群,200 mg 投与する群,400 mg 投与する群,プラセボを投与する群に 1:1:1:1 の割合で割り付け,4 週ごとに 3 回皮下投与した.主要評価項目は,12 週の時点での体重のベースラインからの変化量とした.食欲・悪液質症状,身体活動(ウェアラブルデバイスで測定),安全性を重要な副次的評価項目とした.

結 果

計 187 例が無作為化された.患者の 40%が非小細胞肺癌,32%が膵臓癌,29%が大腸癌を有していた.ポンセグロマブ群の患者では,12 週の時点での体重増加がプラセボ群の患者と比較して有意に大きく,群間差の中央値は 100 mg 群で 1.22 kg(95%信用区間 0.37~2.25),200 mg 群で 1.92 kg(95%信用区間 0.92~2.97),400 mg 群で 2.81 kg(95%信用区間 1.55~4.08)であった.ポンセグロマブ 400 mg 群では,プラセボ群と比較して,食欲・悪液質症状と身体活動に改善が認められた.あらゆる原因による有害事象は,ポンセグロマブ群の 70%とプラセボ群の 80%で報告された.

結 論

GDF-15 濃度高値の癌悪液質患者では,ポンセグロマブで GDF-15 を阻害することにより,体重増加が亢進し,全般的活動量が増加し,悪液質症状が軽減した.このことから,GDF-15 の悪液質の促進因子としての役割が確認された.(ファイザー社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT05546476)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 391 : 2291 - 303. )