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December 19, 2024 Vol. 391 No. 24

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ベトナムにおける多剤耐性結核の予防を目的としたレボフロキサシン
Levofloxacin for the Prevention of Multidrug-Resistant Tuberculosis in Vietnam

G.J. Fox and Others

背景

薬剤耐性結核の予防は,グローバルヘルスの優先課題である.しかし,薬剤耐性結核患者との接触者における結核菌(Mycobacterium tuberculosis)感染の治療について,有効性を評価した試験は少ない.

方 法

二重盲検無作為化比較試験を行い,結核菌感染の治療を目的とした 6 ヵ月間のレボフロキサシン連日投与(体重に基づく用量)と,プラセボ投与とを比較した.試験対象集団は,ベトナムの,細菌学的に確認されたリファンピシン耐性または多剤耐性(MDR)の結核患者の家庭内接触者とした.ツベルクリン反応陽性または免疫機能が低下している接触者を,年齢にかかわらず適格とした.主要評価項目は,30 ヵ月以内の,細菌学的に確認された結核とした.副次的評価項目は,グレード 3 または 4 の有害事象,全死因死亡,薬剤耐性の獲得などとした.

結 果

適格性のスクリーニングを受けた 3,948 例のうち,61 例(1.5%)が coprevalent 結核(無作為化前に診断された活動性結核と定義)を有しており,2,041 例が無作為化された.このうち 1,995 例(97.7%)が,30 ヵ月間の追跡調査を完了したか,主要評価項目イベントを発症したか,死亡した.レボフロキサシン群の 6 例(0.6%)と,プラセボ群の 11 例(1.1%)が細菌学的に確認された結核を発症し(発症率比 0.55,95%信頼区間 [CI] 0.19~1.62),この差は有意ではなかった.グレード 3 または 4 の有害事象には,2 群でほとんど差がなかった(リスク差 1.0 パーセントポイント,95% CI -0.3~2.4).全グレードの有害事象は,レボフロキサシンを服用した 306 例(31.9%)と,プラセボを服用した 125 例(13.0%)で報告された(リスク差 18.9 パーセントポイント,95% CI 14.2~23.6).フルオロキノロン耐性の獲得は認められなかった.

結 論

結核患者の家庭内接触者において,レボフロキサシン群の 30 ヵ月の時点での結核の発症率は,プラセボ群よりも低かったが,その差は有意ではなかった.(オーストラリア国立保健医療研究評議会から研究助成を受けた.VQUIN MDR 試験:Australia New Zealand Clinical Trials Registry 番号 ACTRN12616000215426)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 391 : 2304 - 14. )